花イギリス映画が好きである。          貴族たちが登場する、格調高い文芸物が好きだし、サッチャー政策下、炭鉱不況・失業・貧乏ヒーヒーものも面白い。       ひねったホラーも味があるし、アバンギャルドでポップな青春物もいい。

なわけで、ひと昔前話題になった英国美青年ブームにも当然乗った。 ダニエル・ディ・ルイス、ヒュー・グラント、ルパート・エヴェレットら多くのスターが輩出されたが、その彼らの多くが今も第一線で活躍しているのは嬉しいことだ。やはり美貌だけではなかったってことか。

「アナザー・カントリー」を見に行ったきっかけは、英国のトラディッショナルファッションに興味があったからだ。確かに俳優らが身にまとっている服装は見てて楽しかった。シックなベストやセーター、クリケットで着るスポーツウェア、礼装のタキシードやベスト。ルパートの少し崩れた着こなしも良い。

でもこの映画で白眉だったのは、ルパード演ずるガイ・ベネットの親友、トミー・ジャドを演じたコリン・ファースだ。他の俳優と比べ、地味な印象のコリンだが、この映画では左翼青年ジャドを見事に演じている。

彼はパブリックスクールの生徒にもかかわらず、共産主義に傾倒し、寮が消灯になると、こっそり懐中電灯でマルクスを読んだりしている。だが自分の主義を人に押し付けるような事はしない。  ガイ・ベネットが恋人(もちろん男性)に夢中になったり、学校代表になろうと躍起になっているのを、多少皮肉をまじえながらも、ほほえましく見守り応援している。物静かで思いやりがあって、でも芯の強い男だ。                                私が好きなシーンは、ニットのベスト(セーターかな)を着て眼鏡をかけたジャドが本を読んでいるところ。決して美少年ではないが、若々しい知性溢れた雰囲気に圧倒された。

結局ガイ・ベネットは陰謀のせいで学校代表になれず、出世の道を断たれ、その復讐のためソ連のスパイになったということだが、私は違う解釈をしている。ガイ・ベネットは本当はジャドが好きだったのだ。その数年後スペイン内戦で死亡したジャドに変わり、彼は共産主義に入っていったのだと信じている。男であろうと女であろうと、ホモだろうとノンケだろうと、優れた人物は愛されるのだ。肉体的かプラトニックかは別として。

この役を演じたコリンは、出演作品が日本で余り上映されなかったこともあり、しばらく音沙汰がなかったが、「高慢と偏見」でまた注目され「ブリジッド・ジョーンズの日記」で再び人気を集めた。       今の渋いコリンも大好きだが、やはり私は若き日の知性溢れたトミー・ジャド役のコリンが忘れられない。そして、その一番美しい映像を見られた事に今も感謝している。

※「アナザー・カントリー」をご存知ない方、さっぱり意味がわからないと思います。ごめんなさい。        

                                                                                             


アナザー・カントリー