塩野七生さんの名を初めて知ったのは、とある小さな化粧品店がきっかけだった。「花椿」という資生堂の小冊子に、エッセイを載せていたのだ。
 
当時中学生だった私は、もちろん化粧品を買うお金なんて持っていなし、その必要性もなかったが、お店の落ち着いた女らしい雰囲気に憬れて、せっせとお小遣いを貯めては、安いオーデコロンや夏ほてった顔につけるアストリンゼントローションなどを買い求めた。
 
礼儀正しい店員は、中学生の私にもとても丁寧な応対をし、可愛く包装された品と共に「花椿」を手渡してくれる。何だか自分が一人前の女性になったかのような気がした。
 
そして私は塩野さんのエッセイに夢中になった。辛口でありながら異国の香り漂う優雅な雰囲気、独自の目線でとらえたシニカルな表現。今まで知らなかった世界。       
夢中になった理由は色々あるが、やはりあの店の雰囲気、自分を大人扱いしてくれた喜びも一因だろう。    
 
それほど好きだった塩野さんだが、実はエッセイ以外は、あまり読み込んではいない。以前「チェーザレ・ボルジア」を買ったが、途中で読むのを止めてしまった。
どうも私はルネッサンス期、歩く若きマキアベェッリ体現者であるチェーザレに興味を持てないようだ。悪い癖だが私はキャラクターに共感しないと、本を読み進めることが出来ない。 
                   
彼は確かに魅力的な人物だとは思うが、とにかく逡巡しないでどんどん進んでいく。行動力があり過ぎて、そこが物足りないのだ。もっと悩んで欲しい。(というか途中までしか読んでないので、実際は違うかも)このまま放置するのは口惜しい。
 
よし!折角のお正月休みだから、これまで中断していた本を読み返してみよう。今まで知らなかった新しい展開があるかも知れない。
 
中学生の頃の旺盛な好奇心を思い出して、新しい世界を見つけてみよう。
 
 
 
 
 
水辺の洋館
チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷