猫三匹

最近当り前のように見かけるようになったジベタリアン、コンビニや駅のコンコースなどでたむろしてしゃがみ込み、ケータイでメールしたり飯食ったりしてるやつら。

私は彼らの姿に何か郷愁を感じる。低い目線から空を見上げる彼らの顔は例外なく呆けているが、傲慢さはない。どこかおだやかである。

江戸の終わりか明治の初めか、外国人が撮った日本の風俗写真を見たことがある。その中に、人々が道端にしゃがみ込んでキセルをふかしたり、ただぼんやりしているのが多くあった。仕事の合間に一服しているのか、それともほんとに暇なのかわからないが、昔の日本人はよくしゃがんでいたのではないだろうか。そしてわざわざ写真に撮っているということは、外国人にはとても珍しい風景だったからだろう。

明治以来、西洋の様式が流れ込み、日本人は椅子に腰掛け、ネクタイを締め背広を着、背筋を伸ばして歩くようになる。だがそんなアングロ・サクソンの様式を私ら日本人が真似て無理はなかったのだろうか。

きっとジベタリアンたちは先祖返りなのだ。もともと湿気の多い気候の日本では、ヨーロッパと違って長時間働くのは無理があるし、ネクタイも日本の風土には合わない。

まゆをひそめているおじさんたちも、たまにはネクタイを緩めて、ちょっとしゃがんでみては。今まで気づかなかった世界が見えてくるかもしれない。

  kareki