学生時代、憬れていた大人の女性がいた。それはフランソワーズ・サガン著「優しい関係」の主人公、ドロシーだ。

45歳、バツイチで一人娘は結婚し、シナリオライターとして気ままな独身生活をしており、恋人もいる。ややアルコール中毒のきらいがあり、男好きでだらしないところもある女性だが、なによりも健全で善良な魂の持ち主である。

物語は、あるきっかけで若い青年が、この女性の家に空住むことになり、そこで繰り広げられる恋人との三角関係と、謎の殺人事件。サガンの小説では珍しいサスペンスティストの作品だ。

ドロシーのサッパリした性格と、舞台がアメリカの陽光輝くハリウッドのせいか、読後感は、爽やかで明るい。

この作品は、サガン作品独特の過剰な虚無感や諦念が少なく(もちろんこれは魅力なのだが)初めての方も読みやすいと思う。そして、主人公のなんと親切なこと。“親切にする”ということが、どんなに人を感動させるのか分かる。

さて、彼女のような“憬れの女性”には、とうとうなれなかったが、せめて頑張って、人に親切な女性を目指すことにしようか。

 

  



優しい関係