昨日4月29日は中原中也の誕生日だった、忘れていた。中原中也記念館に行って、ついでにお墓参りにでも行こうかな。
さて、中也と言うとミーハーの私はどうしても恋人泰子と友人小林秀雄との三角関係を思い出してしまう。
東京育ちでイケメンの小林にとって、地方出身で世間知らずの中也の恋人を寝取るなんて赤子の手をひねるようなものだったろう。この経緯について小林は後に「中原中也の思い出」の中で述べているが、どうも文章が平坦で彼らしい深みが感じられない。さすが論文の名手でも、自分の事となると筆力が落ちてしまうのだろうか。
考えてみると、昔は谷崎潤一郎と佐藤春夫の妻譲渡事件とか、太宰治のスキャンダルとか作家の私生活での事件が多かったのに、最近はとんと聞かない。賢いのか、それとも激しい熱情は物語の中だけと割り切っているのか。
たぶん皆さん賢明なんだろう。でも、あの小林秀雄が自分の略奪愛について、まともな文が書けなかったということ自体、逆に彼の苦悩を雄弁に物語っているような気がする。
私生活を売り物にする必要はないが、情熱ゆえの愚かな行動は作家だけに赦される恩典だと私は思っているのだが。
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