ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

2005年11月

女子供の事件

ちょっと前だが、2000年5月の西鉄高速バスジャック事件の犯人が、重傷だった加害者の女性と会い、謝罪したというニュースを聞いた。
あの少年がもう22歳になったのか・・・。

当時、西鉄高速バスは、料金が手頃で便利なので、よく利用しており、突然、日常生活の中で起こった事件に背筋の冷える思いがした。
少年が恐ろしかったのではない。一定の割合で異常な行動を起こす人間はいるもんだ。そんな人に遭遇するかしないかは、“運”でしかない。

何より印象に残ったのは、殺された人や最後まで人質になったのが、老運転手を除いて、6歳の女の子を初めとする女性ばかりであったことだ。男性の乗客たちは少年の指示で途中下車したり、あるいは窓から飛び降りている。

もちろん責めるつもりは毛頭ない。もし私がその場にいたら誰よりも一目散に逃げようとしただろう。

ただ、その事により私の頭の中にぼんやりあった「男は女を守ってくれるもの」という漠然とした神話が消えてしまった。

深夜見るテレビ洋画劇場では、事故で船が沈没しかかった時、「まず、女性と子供を救命ボートへ」と、男たちがたくましい腕で女たちをボートに乗せ、彼ら自身は荒波の中を泳ぎ、あるいは船と運命を共にしていたではないか。
そういうものを見るたび「ああ、女子供に生まれて良かった・・・」と思っていた私は、バスジャック事件における男性たちの行動に、理解はするが、やるせない気持ちになった。

またそんな男性たちの行動を「まるで見てなかったかのように」口をとざしているマスコミも気になる。

ところで最近、母親を毒殺しようとした女子高校生の事件があったが、あれもこのバスジャック事件に共通するものを感じる。

女子高校生は多くのサインを出していた。学校で、薬局で、ブログで。でもだれも助けようとはしなかった。

どちらも、異常行動をする人間もさることながら、ごく日常の中に潜んでいる残酷さが心に残る事件であった。

 

 

母と息子、その秘めたるもの

「リリー・フランキー」というイラストレーターがいることは、数年前から知っていた。サブカルチャー系の雑誌によくその絵やコラムが載っていたから。だが私は、ヘタウマっぽいその絵づらが好きになれず、フザケた名前と相まって、たぶんこいつは東京出身のこじゃれた野郎と決めこみ、彼の書かれたものを読もうなんて思いもしなかった。

さて、私の周囲で「リリー・フランキーの『東京タワー』はイイ!」という評判がたったのはここ最近。あのサブカル系の軽薄っぽいイラストレーターの書かれたものがなぜ?不思議に思って色々調べたところ、彼が私と同じ北九州市の出身で年代も近いのを知った(年は私の方が上だが)

早速本を買って読んでみる。これはリリー・フランキー氏とお母さんの自伝的物語だ。子供時代、家が豊かでなかったこと、父親が酒癖が悪かったことなど自分との共通点も多く、北九州、筑豊といった、過去の栄光を引きずり、ひたすら惰性で動くしかない街、生活保護を受けるのに少しのためらいもない人たちの中で暮らすことへの焦燥感など思わず、うなずいてしまった。

それにしてもこれほど徹頭徹尾、「オカン、オカン」と言っている物語もめずらしい。「母を訪ねて三千里」ならともかく、いい年をした男の母への愛を語った小説ってこれまであっただろうか。男は秘め事のように、母への愛をも隠しているのか、それともリリー・フランキー氏が特別なのか。女の私には謎だ。

 

 

美の饗宴

橋の上今日、先月オープンした九州国立博物館の、開館記念特別展『美の国 日本』を観に行った。

まず、西鉄大宰府駅を降りてから博物館までの参道の人の多さにびっくり。まるで縁日のようだ。平日の昼間でこれだったら祝日や日曜、さてはお正月などは太宰府天満宮の参拝客もいるから相当な混雑になるだろう。他人事ながら心配になってくる。

松浦屏風そして博物館。展示されている作品の質と量にただただ圧倒。およそ4時間近く館内にいたが、自分のキャパシティを超える名品の数々に、帰る頃にはもうグッタリ消耗してしまった。知恵熱が出そうだ。金印

もしこの博物館が近くにあるなら毎週でも通いたいとマジで思う。入の多さも納得できる。リピーターが多いのだろう。

当初、関係者は「半年で17万人の入場者」との見込みをしていたようだが、ふたを開けてみれば、軽くクリアして、一ヶ月で40万人を超えた。やはり「本物」であれば、下手な宣伝はしなくても自然と人は集まってくるということか。

『美の国 日本』は今月の27日まで。福岡に来る機会のある方は、ぜひ立ち寄っていただきたい。

さて、話は変わって帰り道、参道で「梅ヶ枝餅」を買っていたら、笑福亭鶴瓶を見た。カメラマンなど連れてなかったからプライベートの旅行だったのだろう。たちまち梅が枝餅屋のオバちゃんたちに見つかってきゃーきゃー言われている。それにしても鶴瓶氏、顔色もつやつやでごく平凡なセーターを着ているだけなのに光っている。あれが芸能人オーラなのね。

豊臣秀吉

 

唐獅子屏風

「3丁目の夕日」はSFか。

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た。

昭和30年代の風景が、造形的に面白かった。例えていえば、リドリー・スコット監督「ブレード・ランナー」の近未来の風景(ワカモトの電飾など)や、「ブラック・レイン」の大阪の街に共通するような。
ただ映像としては面白いが、登場人物に対しては、昭和30年代の匂いは感じられなかった。

理由は、まず映画の中の人たち、特に子供たちの小ざっぱりとした身なりにある。青バナをたらした、顔にあかぎれのある子供が1人も出てこないし街には傷痍軍人もいない。(まぁ、ドキュメンタリーではないから、そこまでリアルにする必要はないが)。なんか登場人物すべて育ちが良いというか品が良いのである。

そしてやたら明るいのだ。コミックが原作だから多少デフォルメしているのだろうが、集団就職で東北から上京する15歳の娘が、あんなにキャピキャピしているはずがない。

また、売れない作家役の吉岡秀隆のベタな演技には戸惑ってしまった。

この映画で光っていたのは、身寄りのない少年役の子と、その父親役の小日向文世、そして三浦友和演ずる孤独な医者だけだ。

製作者はどんな意図でこの作品を作ったのだろうか。単にノスタルジックを楽しむだけなら良いが、それが長じて、昔は良かった人情があったなどと言い出すと、ちと困るのだが・・・。

ところで映画の中、駄菓子屋で子供たちがクジを引くシーンがあった。私が子供の頃は、ニッキの味がする紙をなめると文字が浮かんでくるというクジがあったが、ああいうのって、やはり家内制手工業で、作ってたんだろうな。

 

 

 

大人の試験

さかな今日、日商簿記2級の試験を受けた。
玉砕だった。

たぶん一般諸兄には、簿記2級など取るに足らない資格試験だと思われるだろうが、普段「努力」とか「勤勉」などと全く縁のない私にとっては一大事だったのだ。

試験の問題用紙をざっと眺め、「なかなかバランスの取れたいい問題だな」とのんきに評論家みたいなことをつぶやきつつも、全然解けないのだからイヤになってしまう。

私は簿記の中でも、工業簿記の差異分析などは割と好きなのだが、肝心の伝票や帳簿記入がダメなのだ。大ざっぱな性格がこんなところに出てしまったか。まあ次の試験は来年2月だ。冬にリベンジだ。

失望と喪失感、そして若干の開放感を味わいつつ、はらはらと銀杏が舞い落ちる試験会場を後にした。
 さて、ぽっかり空いた時間を何に使おうか・・・。

 

 

 

海辺の美術館で。

床の間このたび、二度にわたり、門司にある出光美術館に出かけ、名品展,兇砲董⊇餡茲箙芸品に触れる機会を得た。

まるで港湾の倉庫のような、ざっけない外観の美術館なのだが、そこに収められているコレクションの秀逸な事。無骨な古新聞にくるまれた土産物を開けたら、見事な古伊万里の茶碗だったような風情である。

名品展気任蓮△なじみ風神雷神や源平合戦など親しみやすい作品が並べられ、どのお客さんも、まことに楽しそうな表情で作品に見入っていたのが印象的だった。

今日見た名品展兇蓮書画を中心に重厚なものが多く、胸が一杯になりつつ作品に夢中になり、ふと気がつくと涙があふれてきた。

書画骨董には全く不案内な私だが、不思議と見ているだけで、その時代を必死に生きていた先達たちの息吹が感じられるのだ。鎌倉、桃山、江戸そして幕末と・・・。

名品を残した多くの人たち、なかんずく宮本武蔵や松尾芭蕉などの偉人たちが、単なる歴史上の人物なのではなく、自分と同じDNAを持った日本人なのだと実感でき、ありがたかった。

名品展

 

 

土と魚の町で

海底先週の土曜日、お茶の仲間と佐賀の唐津へ遊びにいった。
船底が見える遊覧船で海の中の魚を眺めたり、呼子の朝市を冷やかしたり、新鮮イカ料理を賞味したり(ゲソのから揚げが最高!)

そして名護屋城址で抹茶をいただいた後、待望の唐津焼の陶房見学と、大変幸せな時間を過ごす事ができた。

庭園小さな漁港でありながら、その歴史的背景を思うと感慨深い。今から400年以上前、全国から集まった戦国武将たちは、どんな気持ちでこの地から玄界灘を見つめていたのだろうか。

立席

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