タイムトラベルものが好きで、それを題材にした本や映画を結構見ている。映画なら「タイムマシーン」や「時をかける少女」「バック・トゥー・ザフューチャー」など等。小説なら3年ほど前に読んだケン・グリムウッド著「リプレイ」が特に面白かった。これは1人の男が何度も過去の若い自分に生まれ変わるという話だ。
読んでいくうち、小説とはいえ、何度も再生(リプレイ)出来る主人公を羨ましく思う。“人生をやり直せたら”いわゆる「たら・れば」は神代の昔から人類の憬れだから。
だがこの手のものは、構成とディティールが難しい。手を抜くとたちまち安直で子供だましの三文小説になってしまう。
さて、映画「バタフライ・エフェクト」を観た。主人公は母と二人暮らしの少年。父親は重い精神病で入院している。彼には好きな女の子がいるが、彼女も父と兄の虐待で心に傷を受けている。
大人になっても不幸なままの彼女を助けようと、何度も過去に戻り彼女の運命を変えようとする主人公だが、あちらを立てればこちらが立たず、やはり不幸は繰り返されるのだ。
見ようによってはずいぶん思い上がった考えではある。他人の過去を変えようなんて。だが彼はやがて悲しい決断をする。それが自分にも彼女にも一番良いのだとさとって・・・・。
こういう「たら・れば」ものは、あまり細かい事に拘らずに、どっぷりその架空の世界で遊べばいい。そして楽しんだ後、我に戻り「だが、私の人生は一つしかないのだ」と苦い現実を思い起こす。これこそが「たら・れば」ものの醍醐味である。