ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

2006年09月

ヒロヒトを知らない子供たち

太陽昭和天皇について記憶に残っていることと言えば・・・。

いつも口をモグモグさせてよちよち歩いている丸い背中。身を乗り出して大相撲を観戦している姿。イギリスの動物園で相好をくずしてパンダを見学している様子・・・・。

失礼だが、どうしても、可愛いおじいちゃんというイメージしかない。

だから戦争中、多くの国民が犠牲になった血なまぐさい象徴と、この可愛いおじいちゃんとが同一とは思えず、まるで肩透かしをくらったような不思議なあっけなさを感じたものだ。

さて、『太陽』という映画を観た。監督はロシアのアレクサンドル・ソクーロフ、主役の昭和天皇を演じるのはイッセー尾形。

先ずは、多くの難関を超え、この興行的には儲からないであろう映画の上映のために努力を尽くしてた関係者の方々に感謝したい。彼らの努力のお陰で、一地方に住む私でさえ、タブーと紙一重のこの名作を堪能することが出来たのだから。

1951年生まれのロシア人の描く昭和天皇のたたずまいは、不思議なユーモアに溢れている。
だがそれは、単なる笑いではなく、緊張が極限に達し、もはや後は笑うしかない、というようなあきらめの混じったユーモアなのだ。

映画の中で米兵士らが天皇のことを「チャーリー(チャプリン)だ、チャーリーだ」と騒ぐ場面があるが、案外アメリカ人は的を得ている。この孤独な現人神の悲哀を敏感に察知したのだろう。

暗く重苦しい映像の中で、現人神は一句一句、言葉を選びながら話し、人間としての道を模索している。彼には威厳や権力といったものは感じられない。

実際の天皇がどうだったのか、今となっては誰も分らない。

ただ、戦後生まれのロシア人の目に映る昭和天皇の姿と、背中の丸い好々爺の姿が不思議とだぶって見え、郷愁さえ感じるのは何故だろう。

 

 


 

負のコラボの行く末は

先日「サイドウェイ」という映画のDVDを観た。
離婚の痛みを2年経っても引きずっている売れない小説家と、結婚を一週間後にひかえた俳優、この野郎2人組が、各地のワイナリーを巡りながらナンパもしようかという、いわばバチェラーロードムービーだ。

面白い作品だったが、これ、いきなり主人公たちが車にワインをどっさり詰め込んで、「ほれっ、ドライブ用にワイン仕込んだよ」っておいおい。いきなり飲酒運転かよ。

つかこの2人組、最初から最後まで(もちろんドライブ中も)当然のように飲みっぱなし。
日本の飲酒運転撲滅委員会(あるのかな)が観たら青筋たてて怒りそうだ。
ちなみにこの映画、2005年のアカデミー脚色賞を受けている。
まぁいいよね、映画だもの。

さて、日本のマスコミは、相変わらず飲酒運転に対して追撃をゆるめないが、それが公務員や自衛隊に集中しているのが何だかな〜という感じだ。

飲酒運転が危険なのは、市役所職員だろうが塗装工だろうが同じだろう。もしやマスコミは、公務員とは決まりをキッチリ守る真面目な集団だと、今だに信じ込んでいたのだろうか。

ところで、これだけ新聞やテレビで飲酒運転が話題になっているのに、肝心の自動車や酒の企業からは一言もない。

本来なら、飲酒運転をなくすための啓発CMぐらい出しても良いと思うし、その方が企業イメージも上がると思うのだが。やはりまずいのかな。

まぁ日本の税収を支える2大業種だからなぁ。でもそのしわ寄せが公務員や自衛隊や、小さい飲み屋さんにきているのは切ない。

「飲んだら運転しない意志を持て」と言われても、その意志を消してしまうのが酒の力なのだから始末におえない。

そんなわけで、せめて鬼の首を取ったように公務員の飲酒運転のニュースを流すのは、やめてほしいものだ。

サイドウェイ〈特別編〉

 

 

 

 

 

暗殺というお仕事

イスラエル人には2つのタイプの人間がいるらしい。

まず1つは「ガリシア人」
東ヨーロッパ系のユダヤ人で、活力に溢れ意志が強く勇敢だが、反面、排他的でだらしなく、狡猾で、常に人の油断につけ入り、平気で嘘をつく。

もう1つは、「イッケー出」
西ヨーロッパ系のユダヤ人で、礼儀正しくきれい好きで洗練されている。几帳面で、ある意味ドイツ人よりゲルマン的だ。

そして、1970年当時、イスラエルを牛耳っているのは「ガリシア人」であった。

そして・・・・・、ジョージ・ジョナス著、『標的は11人 モサド暗殺チームの記録』の主人公、アフナーは、典型的な「イッケー出」である。

今年公開されたスピルバーグ監督『ミュンヘン』の元本でもあるが、実に面白い作品だ。こんなにワクワクしながら本を読むのは久しぶりである。

1972年、PLOの過激派「黒い9月」がミュンヘンオリンピックのイスラエル選手団を人質にとったうえ殺した。激怒したイスラエル政府は、報復のための暗殺チームを作る。メンバーは5人。
そのチームリーダーに選ばれたのが若干24歳のアフナーだった。
そして、ターゲットは11人だ。

メイア首相やシャロン将軍から直々に使命を託されたのだから、若輩者にとって光栄のいたりであろう。

彼は取り立てて何かが出来る、というタイプではないが、大変バランス感覚に優れ、決断力があり、第6感が冴えている。これはリーダーとして重要な資質であろう。

さて、最初のうちは使命感に燃え、またパリやローマ、ロンドンなどへ、アゴ・アシ付きで行け、お金も自由に使えることに単純に喜んでいた彼だが、任務が長引くにつれ、だんだん、重圧に苦しめられるようになる。

そしてラスト、苦悩の末にアフナーが受け取ったのは、イスラエル政府の酷な仕打ちであった。

つか、彼の上司(まぁ政府の方針なんだろうが)せこすぎ!しかも陰険。だからユダヤ人は〜と思ってしまったが、アフナーからすれば、「だからガリシア人は〜」だったろう。

彼は今、家族でアメリカ国内に住んでいるが、アフナーの子供たちは、イスラエルの地で、今も生まれている。

標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

次女の立ち位置

湖
皇室に興味がなく、親王誕生のニュースも、新聞の斜め読みですませているが、一つだけ気になっていた事がある。

それは秋篠宮家の次女、佳子さんのことである。

かなり前、紀子妃殿下が二番目のお子さんを身ごもった時、ある雑誌が、辛辣な記事を載せていたのを覚えている。

当時、雅子様ブームの只中だったせいだろうか、皇太子夫妻を差し置いて次男の嫁が・・・、みたいな批判的な内容で、いやな感じだった。

当然、佳子さん誕生はあまりニュースにならず、また産まれてすぐ、阪神大震災やオウム事件などが起きたせいか、そのまま注目されることもなく過ぎていった。

そんな佳子さんが可愛そうとは思わない。本人はまだ子供で何も分らないだろうし、マスコミにへんに注目されなかった分、鷹揚に育っている気がする。

最近、親王誕生で秋篠宮家の姉妹も、よくテレビで見かけるるようになったが、なんか佳子さん、折り目正しい中にも飄々とした雰囲気で、とても良い味出している。

これからも佳子さんには、作り笑いなどしない、ナチュラルな平成の女性として成長してほしい。

 

 

 

サンサン来訪

台風13号の勢いがすごい。

福岡地方はかなり雨風が強くなっている。

この台風、1991年の台風19号に実によく似ている、だいたい長崎から日本海に向うコースは、いつも被害が大きい。

九州以外の方も、くれぐれも備え万端滞りなく(1991年では、東北地方も甚大な被害を受けている)

まずは、ご注意下さいませ。

 

 

究極の大名旅行

ふと思い立って、辺見庸氏の『もの食う人びと』を読んでみた。

1994年のベストセラーであるルポルタージュを、何で今、と思われるだろうが、日本中が総グルメブーム(まぁマスコミが騒いでいただけだが)だった当時、どうよ!とばかりに上梓されたこの作品に、何かあざとさを感じて読む気が起きなかったのだ。

さて、10年過ぎた今読んでみて、まったく古さを感じなくて驚いた。つか「このノンフィクション古いよ」「今どきこんなのないよ〜」というのが、本来喜ばしき状況なのだが、それだけ紛争による飢餓は、ますます悪化してるということか。

ルポ自体は大変面白く興味深いものだったが、一つどうしても気になるのが、時おり出てくる作者辺見庸氏の私見だ。
百戦錬磨のルポライターにしては、考え方が凡庸といか底が浅いというか。

たとえば飢餓で多くの国民が亡くなっているソマリア。そこの国連軍の食堂には、イタリア、ドイツ、アメリカなど国別のメニューがあり、例えばイタリアの兵士なら、サラダ、あさりのリゾット、牛肉の煮込みなどを食べている事に対し、氏はかなり憤慨している。

そんな・・・・、青二才じゃあるまいし、確かにソマリアの飢餓は悲劇だが、それと兵士が郷土料理を食べるのは別でしょう。
この人どうも、軍=悪、民衆=気の毒な人びと、というステレオタイプに凝り固まっているような気がする。

よく考えてみれば、世界中の紛争地域に出かけていくと言う事はスゴイ贅沢なことだ。ただの大名旅行なら、金さえあれば出来る。
でも辺見氏のような旅は、選ばれた人しか出来ない。お金だけではなく権力とコネを持ち、法律上の手続きをクリアしなければ、砲弾の飛び交っている地域への渡航は許されない。そして安全、通訳の確保、健康と体力があること。まさにエリートだ。

ところで、この本の中に、辞任を余儀なくされた某国の辣腕大統領が出て、ある罪を打ち明けている。それは・・
『テレビを見ながらだね、ワッフルであるとか、その、お菓子をだね、食べるようになってしまった』

消え入りそうな声で語ったと言う。

この元大統領の謙虚さが辺見氏にもあれば、もう少し味わい深い作品になっていたのでは、と思ったのが私の読後感である。

もの食う人びと

 

ヴェニスは遠くになりにけり

中学生の頃、大ヒットした映画に、『ベニスに死す』というのがあった。作品の内容よりも、美少年タッジオ役のビョルン・アンデルセンに人気が殺到し、彼は日本のチョコレートのCMにも出演した。

私も友人に誘われて映画館に足を運んだが、退屈で退屈で殆ど寝ていたような気がする。

「耽美」という優雅な言葉とは無縁のガサツな中学生には、苦痛以外の何物でもなかったが、それ以降、日本の少女漫画には単純な学園ラブものとは違う「耽美派」というジャンルが確立されたように思う。

さて、今更ながらトーマス・マンの『ヴェニスに死す』を読んでみた。

ゲーテは、イタリアを溺愛していたが、同じドイツの文豪トーマス・マンの描くイタリア紀行は、明るい光もなく重苦しい空気に満ちている。

社会的に大成功し、国中の尊敬を集めている芸術家、アシェンバハは何物かに取り付かれたようにイタリアのヴェニスに旅立ち、そこで美しい少年に出会う。
偉大な芸術家は、やがて一人の醜い老ストーカーとなり、港町の疫病と腐臭の中で心身ともにボロボロになっていく。

この時、アシェンバハはまだ50歳。恋だって可能だし、自分の名声を利用して少年と知り合いになることだって出来たはずだ。

だがのぼせ上がった大芸術家は、すっかり自分の立場を忘れ、常軌を逸する行動に出、やがて幸福な最期を迎える。

しみじみと羨ましく思った。愛に溺れ、陶酔したまま死を迎える。こんな幸福なことがあっていいものだろうか。

美少年タッジオと同じ年では分らなかった事が今、アシェンバハに近い年になってやっと理解できたように思う。長生きはするもんだ。

ヴェニスに死す

 

 

 

 

マイアミは遠くになりにけり

80年代、大好きだったテレビ番組があった。『特捜刑事 マイアミバイス』である。毎週楽しみにしていたものだ。

スタイリッシュな映像、最新の音楽、ファッション、車、ボート、魅力ある登場人物、フロリダの空と海の青さ。

だが、何と言っても主役のソニー・クロケットを演じたドン・ジョンソンのカッコよさに惹かれた。

いつも素肌にTシャツとジャケットをはおり、素足、そしてまなざしはあくまで優しい。

そう、暑いマイアミでありながら彼の顔はいつも涼しげで、汗を感じさせなかったのだ。

煙草を吸っては、吸がらをしょっちゅう道端に捨てるさまも、今となっては懐かしい思い出である。

さて、この『マイアミ・バイス』が映画になると聞いた時は、色めきたったものだが、主役のソニーがコリン・ファレルと知りちょっとひいた。

あのさらっとしたドン・ジョンソンに比べて濃い過ぎるキャラだ。しかも髭を生やしている。

で、ちょっと悩んだが、やはりマイアミファンとしては見ておくべきだろうと覚悟を決め、出かけた。

・・・そして観た感想としては・・・。映画自体はそんなに悪くはない。なかなか切れのある映像だ。携帯電話やパソコンが小道具の中心になっているのは時代を感じさせた。

ただ夜のシーンが多いせいか、猥雑な街の雰囲気は良く出ていたものの、フロリダの明るい太陽や美しい空と海、水着のオネーチャンたちが拝めなかったのはちと寂しかった。

そして一番ガッカリした事。TVドラマでは、ほぼ毎回あった、最後ソニー刑事が、捕まえた犯人に容疑者の権利を読み上げる場面がなかったことだ。

「あなたには黙秘する権利がある。あなたの証言は法廷で不利に扱われることがある。あなたには弁護士を雇う権利がある。経済的理由で弁護士を雇えない場合、国選弁護士を雇うことが出来る。」

今まで自分らと同じヤクの売人と信じていたのに、実はおとり捜査官だったと知り、権利を読み上げるソニーを呆然とした顔で見ている犯人。このシーンこそ『マイアミ・バイス』の真骨頂なのに見事に外されていた。これじゃ印籠の出てこない水戸黄門、桜吹雪の出てこない遠山の金さんではないか(たとえが古すぎるか・・・・)

軽い脱力感で映画館を後にした。ああ、昭和は遠くになりにけり。

 

 


 

 

 

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