『イースタン・プロミス』という映画のDVDを観た。
クローネンバーグ監督作品で、主役はヴィゴ・モーテンセン。
ちなみにヴィゴは、この作品でアカデミー主演男優賞にノミネートされている。
内容は、クリスマス前のロンドン、14歳のロシアの少女が病院に担ぎ込まれ、赤ん坊を出産した後、死亡する。
少女の腕にはたくさんのヘロイン注射の痕。どうやら売春をさせられていたらしい。
少女を看取った若い助産婦(ナオミ・ワッツ)は、残されたロシア語で書かれた日記から、彼女の身元を追い、やがてロシアン・マフィアの運転手、ニコライ(ヴィゴ)と出会う・・・・。
とにかく、クローネンバーク監督の描くロシアン・マフィアの冷酷さ、血生臭さ、たまりません。
彼らは銃を使わずナイフで人を殺すので、その生々しいシーンに、指の間からおそるおそる観ることもしばしば。
しかし、なんといってもヴィゴのかっこよさクールさにはまいりました。
この人『ロード・オブ・ザ・リング』で一躍有名になったけど、自分のイメージを固定せず、作品ごとに新鮮な魅力を見せてくれる。
特に今回、白眉なのは、サウナ風呂で、ヴィゴが素っ裸で殺し屋2人とナイフで格闘するシーンだ。
そんなにマッチョではない、どちらかというと少年体型のヴィゴの体に、全身鮮やかなタトゥー!
美味しい、もとい目の保養、もとい、こんな迫力ある格闘シーンも久しぶりだ。
さて、ロシアン・マフィアのタトゥーは、日本の刺青と違い、記号というか、象形文字みたいな、くさび型文字みたいな模様が多い。あと十字架とか。
映画の中でも「タトゥーは囚人の履歴書だ」という言葉が出てくるが、これを見れば、犯罪者の前科や思想、性的嗜好などが分かるらしい。
彫る時も、電動ドリルみたいなのを使っていて簡単にやっていた。
日本において、彫師が腕を振るった、極彩色の不動明王や観音様などとは、ずい分違うもんだ。
ところで先日読んだ『項羽と劉邦』にも刺青にちなんだ男が出てくる。
鯨布という男だが、刑罰で刺青を入れられた時、大喜びしたという。そして後に前漢初期の准南王となる。
やはり刺青は、ヤクザ者の勲章なのだろう。
さて私は、香港マフィアや中国黒社会ものの映画も好きなのだが、香港のヤクザは日本と違い、あまり刺青をしていない。
もし香港ヤクザに刺青の習慣があるのなら、映画『インファナル・アフェア(無間道)』の潜入捜査官ヤンは、信頼を得るために体にもんもんを入れねばならなかったはずだ。
くりからもんもん(漢字分からん)を背負った日本のヤクザの姿には「あちゃー、もう堅気にはもどれないんだ」という悲壮な雰囲気が漂うが、これは文化の違いなのかなぁ。