ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

2008年12月

乃木さんを責めないで

城今、司馬遼太郎著『坂の上の雲』6巻目を読み進んでいる。

日露戦争の状況だが、日本は、どうにか旅順は陥落したものの軍は疲労困憊し、兵士や武器も慢性的に不足しているところに、冬将軍がやって来る。

一方ロシアのバルチック艦隊だが、様々なトラブルに悩まされ、今アフリカ東部、マダガスカル島に繋がれたままになっている。

さてこれからどうなるのか気にはなるのだが、戦闘シーンが続いたせいか、いささか食傷気味ではある。

それで思いだすのは、陥落する前の乃木軍率いる旅順攻撃の話だが、作者司馬遼太郎氏は、口をきわめて乃木将軍を罵倒し、無能と決めつけ、彼のために何万という兵士が無益の死を遂げていると結論付けている。

その語り口は、まるで姑が憎い嫁をののしるように、容赦がない。

また陸軍の上層部も乃木の無能を知りながら、長州藩出身だの、その参謀は薩摩藩だからだの、メンツにこだわり、更迭されない。

その間、何の工夫もない「突っ込めー!!」一本槍の戦法で、屍の山が累々と築かれていくのだ・・。

う〜ん、彼の戦下手は聞いたことがあるが、これほどひどいとは思わなかった。(もちろん、あくまで司馬遼太郎氏の見解だが)。

乃木希典と言えば、数々のエピソードがあるが、目を引くのはそのストイックさだ。

西南の役に従軍していた時、敵の薩摩軍に軍旗を奪われ、その失態を恥じ、自殺しようとまでした事。

ドイツ留学中の給料は受け取れないとひと悶着起こした事。

息子2人が旅順で戦死した時、「戦死したことを喜んでいます」などと語ったこと。

そして明治天皇大喪の夜、妻と共に殉死した事等々・・・。

なんかずいぶん手のかかる人だし、家族はえらい災難だ。

しかし戦後、彼はその高潔さや無私、禁欲的な生き方が称えられ、軍神と崇められるようになった。

だがなぁ、肝心の戦はダメダメなのに、その言動、パフォーマンスで「軍神」扱いされるのは・・・・・・。

有事に必要なのは、高潔だが無能の将より、性格悪くても戦上手の将だと思うのだが。

でもそれでは日本人の好きなお話にならないのだろう。

私の住む隣の市、下関には『乃木神社』があり、何度か参ったことがあるが、果たして彼は自分が祀られていることを喜んでいるだろうか。

乃木神社の近くで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英国人の見たいちご畑

 アクロス・ザ・ユニバース』という映画のDVDを観た。

全編ビートルズの33曲に彩られたミュージカルということで、映画館で見たかったのだが、私の住む地域では上映されなかったのだ。

時代は1960年代。

イギリス・リバプールの造船所で働く青年が、まだ見ぬ父に会うため、そして自分の可能性に挑戦するために、アメリカに渡る。

場面変わってアメリカのハイスクール。
ブロム・パーティーで恋人と踊る金髪とブルーの瞳の少女。
だが、恋人はやがてベトナムへ派兵され、戦死する。

ビコーズ青年の名はジュード。少女の名はルーシー。

ちょっとベタ過ぎるかな、と思いはしたが、物語は、2人の出会いを中心に、アメリカ60年代の文化や風俗、ベトナム戦争と反戦運動、公民権運動、サイケデリック、ドラッグカルチャーなどを描いている。

ジャニス・ジョプリンやジミヘンを彷彿させる人物も出て興味深い。

そして、当時のドラッグ・カルチャーの伝道師、ティモシー・リアリーがモデルと思われるドクターロバートを、なんと私の嫌いなロビン・ウイリアムズが演じているではないか。

「えっ、なぜ!」と驚いたが、よく見たらU2のボノだった。

U2の曲は好きなのに、ボノが好きになれない理由は、彼の言動はもとより、その風貌が問題なのだと改めて分かった。

ジャニスとジミヘン?さて、ビートルズの歌詞を中心につづられる物語は絶妙で、創る側の、一つ一つの曲に対する愛情がひしひしと伝わってくる。
(自由の女神の出てくるシーンは笑った。確かにヘヴィーだ)

そして何より役者が良い。

有名な俳優はいないのだが、みなピュアで何より歌が上手い。

特に主人公のジュード役、ジム・スタージェスの、いかにもイギリスっぽい風貌には惹きつけられた。

繊細で前衛的でありながら、どこかあか抜けなくて古風な感じ。

彼は恋人ルーシーを愛しているが、彼女のベトナム反戦運動には懐疑的な目で見ている。

そして絵の才能を見いだされたジュードに対して、ルーシーは、「徴兵されないからってお絵かきばかりして」となじる。

ボノも出演そう、ジュードは声高に主張したりはしない。だが、だれよりも深い感受性を持っている。

そしてそれは、そのままビートルズにも当てはまる。

ビートルズの歌詞は、言葉遊びみたいなものもあるが、多くは日常的なもの、だが普遍的な真実や哲学を歌ったものが多い。

平和だの反戦だのを大仰には語らない(それは解散後のことだ)

だから解散して30年近くなるのに、色褪せることなく、歌い継がれていくのだろう。

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青いドレスの女

雀鬼?あと2週間ほどで2008年も終わる。

今年も色々な映画を見てきたが、最も心に残った作品は、『ラスト、コーション』、その次が『ダークナイト』だろうか。

どちらも、劇場で観終わった時は、そうでもなかったのに、時間が経つにつれ、じわじわと広がっていき、やがて頭の中はその映画のことで一杯になった。

特に『ラスト、コーション』は何度観ても飽きることがなく、常に新しい発見がある。

なぜこんなに、はまってしまったのか、つらつら考えてみるに、戦前の香青色1号港や上海のレトロモダンな雰囲気、その時代の空気感にすっかり取り付かれてしまったようだ。

上海の街並み、レストラン、喫茶店などのインテリア。
瀟洒な洋館の部屋の壁紙、調度品の一つ一つがシックでうっとりするが、何といってもヒロイン、ワン・チアチー(マイ夫人)の身にまとうチャイナドレスの美しさにクラクラした。

ワン・チアチーを演じたタン・ウェイは、映画の中で20着以上のチャイナドレスを着たそうだが、見た感じ、そんなにとっかえひっかえ着ていた印象はない。

それは、彼女の着るドレスが、柄は違っても、ほとんど寒色系の青で統一されているからだ。
青色2号またその上に羽織るコートや帽子も、紺か茶系である

チアチーは実は清貧な女子大生で、衣装代は、国民党の工作員が調達している(香港時代は、金持ちの学生仲間が)

若い女の子なら派手なものに手が行きそうなのに、この趣味の良さはなんだろう。
チアチーのセンスか、スパイだから目立ってはいけないという配慮か、もしくはターゲットの易先生の好みをリサーチしたのか。

またドレスの素材や仕立ての良いこと。
質の良いなめらかなシルクが肌と溶け合い、細かな手縫いで柔らかく体を包んでいる。

青色3号原作にもあったが、チアチーのドレスの立ち襟は、小さめで愛らしいし、易夫人やそのマージャン仲間である高官夫人のドレスもそれぞれ艶やかで格調高い。

しかし、それらの美しさは、南京政府の高官が住む地域に限られたものだった。
街中では貧民があふれ、道端には死体が転がっているのだから。

そんな訳で、もし生まれ変わったら、中国の高官夫人となって、毎日麻雀三昧の暮らしをしたいと、アホなことを考えている今日この頃である。

ごろにゃん

 

 


 

 

 

 

 

陽気な悪魔が街を襲う

今年の夏公開された話題の映画『ダークナイト』がDVD化されたので、 早速借りてみた。

劇場で観た時、すごい作品だとは思ったが、映画全体をおおう暗さにやりきれず、重苦しい気分に浸ったまま家路についたのを覚えている。

映像も暗けりゃ、内容も登場人物の表情も暗い。

気に入った映画は繰り返し劇場で観る方だが、こればかりは、再度、観に行く気にはなれなかった。

じょーかーだよ私自身暗い人間だが、暗い奴ほど明るいものを求めるのだろうか(おまえは鶴田浩二か)

思えば今年話題のアメリカ映画は暗いものが多い。

ゼァ・ウィル・ビー・ビラッド』や『ノーカントリー』など、練り込まれた脚本で、素晴らしい作品とは思うが、やはり苦手だ。

アメリカ映画って普段は明るいものが多いが、暗いものになると、徹底して救われない。

まだイギリスのクライムサスペンスや香港の黒社会ものの方が、暗さの中に、ホッとするユーモアがあるのだが。

じょーかー、うしろーさて、肝心の『ダークナイト』だが、あらためてDVDを観ると、2度目のせいか、さほど重苦しさは感じられない。そして何より故ヒース・レジャー演じるジョーカーに釘づけになる。

ああ、ジョーカー、ジョーカー。

正直、バッドマンよりも熱血検事ハービー・デントよりも、ゲイリー・オールドマン扮するゴードン警部補よりも(あ、警部補は好きだけど)ジョーカーの一挙手一投足に目が離せない。

なんて可愛いのだろう。

暗い表情の蝙蝠男や、警察官や検事の中にあって、ジョーカーだけが異彩を放つほど明るい。

なぜなら彼はすべての欲望から解放されているから。物欲、金欲、名誉欲などすべて。

意外とおしゃれ彼にあるのは邪悪なものを愛する心だけだ。

それにしても、28歳のヒース・レジャーの演技はまさに神がかりだ。

特に病院爆破のシーン。ナース姿のジョーカーがよちよち歩きながら、自分が仕掛けた爆発の音にびびっている様子など、鳥肌ものだ。

観終わって、やはり悲しい気分になる。
ああ、来年のアカデミー授賞式で、ヒース・レジャーの栄えある姿を見たかったのに・・・。

 

ダークナイト 特別版 [DVD]

 

 

 

 

 

 

 

 

明治時代の就活事情

 今、司馬遼太郎の『坂の上の雲・全八巻』を読んでいる。現在4巻目。

これは、四国松山出身の3人の男を中心とした、近代国家をしゃにむに目指した明治時代の日本の物語である。

014

3人の男とは・・・。
日露戦争において、世界最強と言われたロシアのコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の名参謀、秋山真之兄弟。
そして俳句・短歌の世界で、大きな足跡を残した正岡子規である。

3巻目で早くも正岡子規は肺結核で亡くなり、4巻目、日露戦争の火ぶたが切って落とされたが、国力、武器兵力とも劣る日本は、ロシアに対し苦戦を強いられている。

その中にあっても、秋山兄弟は、兄が陸軍、弟が海軍にて重要な任務を見事に遂行している。

そんな日露戦争を支えたともいえる兄弟だが、軍人になった理由はいたって単純であった。

朝日

子だくさんの貧乏士族が、タダで行ける学校が士官学校だったのだ。

何しろ兄、好古は中学も行けず、風呂焚きの仕事で稼いでいた。

やがて彼は、師範学校、陸軍士官学校から陸軍に入る。

弟の真之は、元々歌や俳諧が好きで、友人正岡子規と共に、文学を目指そうと誓い合ったこともあった。
だが、現実を考えれば、文学など高等遊民のみゆるされた贅沢だ。

真之の学費も、陸軍に行った兄好古の仕送りでまかなっている。

彼は断腸の思いで正岡子規に別れを告げ、海軍兵学校に入るのだ。

当時、国家予算に対する軍事費の割合は高く、明治30年度に至っては軍事費は55%である。

現在大学生が上級公務員試験を受けるように、明治時代の優秀な学生にとって、軍人になることはもっとも早いエリートの道だったのだろう。

でも、日清、そして日露戦争における血なまぐさい戦いにおいて、多くの若者たちが露と消えていくのは辛い。

十代の頃、正岡子規と秋山真之は、温暖な四国松山の地で、あるいは束の間の自由を満喫した東京の下宿で、詩や文学を語り明かした。

彼らのその後の過酷な人生を思うと、ほんのひと時でも、のんびりとした青春を過ごせて良かったなと思うのだ。

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
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恭喜恭喜

本日、『レッドクリフPart機截害鵑瓩魎僂襦

「吹き替えの方が情報量が多くて状況が分かりやすい」という評判を聞き、今回初めて吹き替え版に挑戦したのだが、意外とすんなり入り込めた。

少なくとも字幕翻訳家戸田奈津子女史独特の「〜ので?」「〜かもだ」がないだけでもスッキリする。

男らしいぞまた声優さんたちの、巧みでオーバーともいえるセリフ回しも、時代劇のせいか、そんなに不自然に感じない。

ただ、「官渡で袁紹が・・」とか「蔡瑁と張允が」といった固有名詞を耳だけで拾うのは、三国志をあまり知らない人には難しいと思う。

「カントで炎症」?「細胞と調印」?みたいな。

さて、私は耳での聞き取り能力がなく、学校でも先生の言うことがなかなか理解できないことがあった。でも読むのは得意だ。

だから授業中も先生の話を聞くふりをして実は、教科書をずっと読んでいた。

一応主君ですそれでもそこそこテストでは良い点をもらっていたのだが、社会人になるとそうもいかず色々苦労したものだ。

特に今稽古をしている「茶道」は、あるレベル以上になると「口伝」といって先生のお言葉だけが頼りになる。手引書などはない。

そして稽古中はノートをとることはできないので、聞きとり能力に劣る私にはつらいが、頑張るしかない。

話が大幅に脱線したが、とにかく吹き替え版も、良かったということで。

でも劇場で観るのはこれで終わりにしよう。

名残惜しいくらいがちょうど良いのかも。そして来年4月の「Part供廚鯊圓箸Α

とにかく5週連続1位オメデトウ!

十万の矢

 

 

 

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