ある活字中毒者の日記

       神は細部に宿る

2009年01月

果たして言葉は神か

蜜月は短く・・・初めに言葉ありき、
言葉は神と共にあり、
言葉は神なりき。

有名な聖書の言葉だが、その影響か欧米社会では言葉による自己表現のスキルの高さが、その人物の評価につながる。
言葉が何より重要なのだ。

だからいい歳をした中年夫婦でも「愛してるよ」「愛してるわ」と繰り返す。

一方、かつて日本は慎ましいのが美徳とされ、声高に発言するよりも、察し合うことが求められた。

空気を読んだり言葉の裏を読んだり気を使ったり、ずい分面倒なことパリに行きたいで、いっそ西洋のストレートな物言いが羨ましく思うこともある。

でもすべてを包みかくさず話すことは、話し手も聞き手も、ハードなエネルギーを要する作業だ。
ましてそれが受け入れ難い、耐えがたいことだったら、聞き手はどこに逃げたらいいのだろうか。

レボリューショナリー・ロード〜燃えつきるまで』という映画を観た。

レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットという「タイタニック」コンビ久々の主演作ということで、ロマンティックな恋愛映画と思ったら大間違い。

これはある幸福な夫婦が、ゆっくりと自己崩壊していく物語なのだ。

1950年代、フランク(レオ)は会社員。エイプリル(ケイト)は専業主婦。アメリカ郊外の新興住宅街に一戸建ての家を持ち、2人の子供にも恵まれ、はた目には、知的な幸福な夫婦に見える。

だが夫は毎日の決まりきった生活にうんざりし、結婚前女優を目指していた妻は、地元の素人劇団に参加しているが、ぱっとせず、鬱積が溜まっている。

ある日彼女は夫に、パリに移住しようと切り出す。
こんな虚しい単調な毎日を捨てて、パリで自分らしい生き方をしようと。

こんな突拍子もない話、聞き流せば良いのに、その日職場の女の子と浮気をしていた夫は、妻に対する負い目と、また仕事でイヤなこともあったので、エイプリルの話に耳を傾ける。

そして2人はパリ移住計画に夢中になるのだが、様々な障害が起こり、やがてエイプリルは、だんだん神経に異常をきたしていく・・・。

・・・・う〜ん、とにかくレオとケイトの演技が上手い。いや彼らだけでなく、隣人のブルーカラーのカップルや、家を世話した不動産屋の老夫婦、みな芸達者ばかりで見ごたえがある。

ラブラブだったのに大きな事件がある訳ではない淡々とした物語ながら、飽きさせないのは、演劇畑出身のサム・メンデス監督の手腕と、俳優陣の巧みさだろう。

特にレオは上手い。ケイトはアカデミー賞の常連だがエキセントリック過ぎる気がして、逆にレオの受け身の演技に好感を持った。

それと、不動産屋の老夫婦の息子で、頭脳明晰ながら精神を病んでいる青年ジョンを演じたマイケル・シャノン。上手い。アカデミー助演男優賞候補なのもうなずける。

ジョンは精神を病んでいる分、鋭い直観力を持ち、若夫婦の欺瞞をするどく指摘する。それがすべて的を得ているのでフランクとエイプリルは激しく動揺するのだ。

狂気の演技このマイケル・シャノン、どこかで見た顔だと思ったら、以前「8Mile」という映画に出ていた。エミネム演じる主人公の、高校の上級生で、主人公の母親(!)とできてしまう男で、しかも昼間っから酒びたりで仕事もしない、エミネムからしたら殺したいほど憎らしい役だ。

閑話休題、このジョンの母親のヘレン(「タイタニック」の時の成金夫人役だったキャシィ・ベイツが好演)だが、表向きはいかにも親切で社交的だが、陰では際限なく人の悪口を言い、たぶんジョンはそんな母の影響で神経を病んだと思われる。

「あなたたちは特別な人だから」

これはヘレンの、高い家を売るための常套句にすぎないのだが、フランクとエイプリルはどうやら真に受けてしまったらしい。悲劇はここから始まったのかも。

そしてフランクはあまりにも真摯に妻の話に耳を傾け過ぎたのだ。
そのため逆にエイプリルは逃げ場を失ってしまった。

ではどうすれば良かったか。

それはこの物語のラストに象徴的に描かれている。

そんな訳でこの映画、恋愛中のカップルや新婚さんにはあまりおすすめ出来ないかも。

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南の街に雪が降る

一昨日の昼、街を歩いていると、ひらひらと白いものが落ちてきた。

「雪だ」

九州北部では毎年、1月の終わりから2月にかけて雪の降る日がある。

そう言えば今日はやけに冷え込むし、街の音も静かだ。

「積もるかもしれない♪」

何となくわくわくした気持ちでオフィスに向かう。

夕方5時。会社の休憩室の窓を見ると一面銀世界!!

職場の友人たちの、帰りの道路が渋滞するだの、JRが遅れるだの、明日雪が積もって出勤できなかったらどうしようだのボヤキにうなずきながらも、心の中は嬉しくて庭かけ回りたくなるのをぐっとこらえる。

夜の帰り道、家の前の坂道も真っ白な雪でほのかに明るい。

北海道のパウダースノーとは程遠い、しっけのある重い雪だが、積もったばかりのそれは、踏み込むたびにキュッキュッと音がして幸せな気分にさせる。

「どうか明日はもっと積もっていますように・・・・・」

翌朝、寒い中飛び起き、一番に窓の外を見る。

・・・・・でもそこに私の願った風景はなかった。

家々の屋根や道路の端に残雪がへばりついているだけだ。そして冷たい雨に変わっている。思ったほど気温が下がらなかったらしい。

束の間の銀世界は一晩で遠い空に消え、変わらない日常がまた始まった。

一夜の雪

 

 

 

 

レトロな街のヒーロー

金城武主演の映画『k−20 怪人二十面相・伝』を観てきた。

脱出成功この映画、『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフの制作ということで、いかにも作り物のノスタルジーというあの感じが苦手な私は、躊躇していたのだ。

でも金城君は大好きな俳優だし、私の甥っ子に似ているし(身内自慢)何といっても、わが街北九州でロケを行っていることを知り、これは見に行かねばと思ったのだ。そして・・・・、

・・・・・・・いやぁ、期待した以上に面白かった!!爽快な時間を過ごしました。

舞台は、平和条約が締結され、第二次世界大戦が回避された1949年引っ張りだこの東京(帝都)。

この架空の都市では、一部の華族が富と政権を独占し、多くの庶民は食うや食わずの貧困に喘いでいる。

都心の街並みはドイツの影響を受けてか、レトロな中にも渋さと重厚さがあり、瀟洒な建築物の周りには、無数の貧しい家々がかろうじて建っているありさまだ。

『三丁目の夕日』では嘘っぽかった映像が、ここではパラレルワールドのせいか、SFっぽい雰囲気でわくわくした気持ちにさせられる。

レトロな街並み遠藤平吉(金城武)は孤児として育ち今はサーカスの花形団員。だが身分が低いためいくら一生懸命働いても貧しいままだ。
ある日彼は、見知らぬ男から、羽柴財閥の礼嬢葉子と、名探偵明智小五郎との「納采の儀」の写真を隠し撮りしてほしいと依頼を受ける。

金のため引き受けた彼だが、それは陰謀で、なんと「怪人二十面相」の濡れ衣を着せられ、警察に逮捕されるのだ。

サーカス仲間の協力で脱走した彼は濡れ衣を晴らすため、明智小五郎(仲村トオル)や葉子(松たか子)らと協力して真相をつかもうとするのだが・・・・。

レトロな街で繰り広げるアクションはかなり本格的で、うーん金城君、すごくガンバっていたのが伺える。

廃墟に立つ彼のやや活舌の悪い日本語も、無学で口下手で、でもひたむきな青年という感じがして違和感はなかった。

國村隼さんら脇役陣も充実して見ごたえがある。

映像の中の、おらが街の風景も嬉しい。

我家の近くで撮ったのもけっこうある。いつ撮影したのだろう。知っていれば絶対見に行ったのに・・・・・。

ていうか普段見慣れた、地元民にはしょぼい景色が、こんな鮮やかな風景でよみがえるなんて、映像の力ってスゴイ。

門司赤煉瓦プレイスさて、映画の中では平吉たちが、華族と庶民という階層、ずばり「格差社会」について憤りを露わにしている。

でもこの政府、第二次世界大戦を回避したのだから、そんなに無能ではないはず(少なくとも現実の日本政府よりも偉い)
何とか理性で公平な社会を作ってほしいものだ。革命は決して解決にはならないのだから。

いい男ところでこの作品、江戸川乱歩の「怪人二十面相」とは似て非なるものだ。
まったく別物として鑑賞した方が、より楽しめるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右手に拳銃、左手におむつ

 クライヴ・オーウェンは、好きな俳優だ。

映画『ボーン子連れ狼じゃないよ・アイデンティティー』の中で、眼鏡が素敵なスナイパー「教授」役が印象に残っている。

そんな彼の主演作『シューテム・アップ』のDVDを観た。

クライヴ・オーウェンが扮する謎の男、スミスは、偶然、殺し屋たちに追われている妊婦を見、助けようとする。

強すぎるだが妊婦は出産した後、殺され、今度は赤子を抱えたスミスが、なぜか殺し屋たちに追われるはめになる。

超人的な能力を発揮して、スミスは殺し屋たちに立ち向かうが、彼らの背後にはより巨悪な組織があったのだ・・・・・。

・・・・いやぁ、面白すぎ。もう87分間興奮しっぱなし。ありえない荒唐無稽なアクション、何万発あるんだよ弾薬の数、何で死なないんだよ!!不死身過ぎるやつら!!

まず冒頭に流れる音楽、ニルバーナの「Breed」にシビれた。

そして、弾薬が飛び散る中、赤子をしっかと抱きしめ、銃をぶっ放すスミ不死身のボススの姿には、昨年観た映画『レッドクリフPart1』の、超雲子龍の長坂橋のシーンを彷彿させる。

ていうか終始、スミスはあの「超雲子龍状態」なのだ。

彼と赤子には何の関係もない。ていうか、あかちゃんを守るのに義理なんてない。守りたいから守るんだ。その姿が潔い。

弾薬がいっぱいそして手を広げ2丁拳銃でぶっ放すシーン。もう、もろ香港アクション。鳩が飛べば完璧、ジョン・ウーの世界だ。

だがさすがアメリカ映画、香港より湿気が少ない。

スミスと赤子、またスミスとなじみの情婦の関係も、変に情にからむことなく、さっぱりと描かれているのが良い。

アクション、情愛、お色気のバランスが絶妙というか、だから途中だれることもないのだ。

眼鏡っ子のスナイパーさて、物語は漫画チックにどんどん話が大きくなって行き、どうなることかと思ったが、ラストのオチの付け方もGood!

ところで映画の中で、「指紋認識型の銃」が出てきたが、これはなかなかよいアイデアだと思う。持ち主以外は使えないのだから、万一盗難にあっても安心だ。

これって現実にはあるのだろうか。

シューテム・アップ [DVD]
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おかしゅうてやがて哀しき

父と子昨年の夏上映されたのに見逃していた香港映画、『ミラクル7号』のDVDを観た。

監督で俳優のチャウ・シンチー(周星馳)の、香港における人気は絶大なようで、昨年香港の、映画興行収入は、『レッドクリフPart1』を抑え、この『ミラクル7号』がトップだそうだ。

チャウ・シンチー作品は『少林サッカー』と『カンフーハッスル』しか知らない私だが、今度もあの、「コテコテのギャグ」、「おバカキャラ」、「ハイテンション」、「ありえねーアクション」満載の世界かな、と思ったら少し様子が違っていた。

チャウ・シンチー演じるティーは、小学生の息子、ディックと2人暮らし。

街頭テレビ超びんぼーなのに父は工事現場で必死に働き、息子を名門小学校に通わせている。

仲の良い親子で、父はいつも「貧乏でも嘘を付かず、喧嘩せず、一生懸命勉強すれば人から尊敬される」と言って聞かせているが、ディックはやはり心の中に屈託を持っている。

そんなある日、運動靴を探しにきたゴミ捨て場で、不思議な青い物体を見つける。それは何とも愛らしい生物だった・・・・・。

・・・・・・・いやぁ、不覚にも泣いてしまいました。

思い切り笑うつもりが、チャウ・シンチーの映画で泣かされてしまうとは。

まず父子の凄まじいビンボーぶりが、このご時世、笑えないのだ。
無学の父が、せめて息子には、という気持ちも切実だ。

そして、ミラクル7号、ディックが「ナナちゃん」と呼んでいる地球外生物だが、その可愛らしいこと!!

異星人?実はナナちゃん、凄い能力があり、それによってこの父子は最大の危機を逃れるのだが、肝心の彼らはその善行を知らない。

それどころかディックは勝手に腹を立てて、ナナちゃんを叩き、いじめ、ゴミのように捨てたりする。

彼らが超貧乏だからって甘やかさず、醜い所もしっかり描いているのがリアルだ。

また名門小学校でディックをいじめている生徒たちだが、どうも金持ちの子には見えない。
その言動などから、きっと彼らはここ数年の高度成長で成り上がった家の子たちで、もう一度、経済恐慌が起きれば、たちまちディックと同じ立場になり下がるのでは、と想像できる。

そしてナナちゃんをきっかけに、本来の子供に立ち返ったとき、彼らのいじめも解決する。

実は女の子この物語には悪人は出てこない。

意地の悪い先生や、口の悪い現場監督が出てくるが、みな基本的には善人だ。

だが何といっても、ナナちゃん。見返りや賞賛を求めないそのけなげな姿。

そしてナナちゃんを見守る父子を、弱さも持ち合わせた生身の人間として描いたからこそ、その切ない愛情に涙するのだ。

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うつぶせで寝る夢はどんな夢?

にわとりさん可愛いおじいちゃん先生、日野原重明さんが提唱しているのに、「うつ伏せ寝」というのがある。

何でもうつ伏せ寝はとても健康に良いらしく、もちろん先生も実行されているらしい。

確かに脊椎動物で、仰向けに寝ているのは人間だけだ。動物で腹を出して寝るというのは、「さぁ食ってください」と言ってるようなものだろう。

96歳になっても現役医師として活躍し、講演活動も行っている先生のいう事だし真実味がある。

でも、うつ伏せねぇ〜。

一時、赤ちゃんのうつ伏せ寝が流行ったことがあった。なんでもその方が背筋力などがつき、子供のスタイルも良くなるとか。

川でもその後、赤ちゃんの突然死などが言われるようになり、たちまちすたれていった。

そういえば昔知り合いの男の子で、お尻の形がとてもカッコいい子がいた。ヒップが小さめでキュッと上にあがっているのだ。

冗談で褒めたところ、彼は「僕、うつ伏せ寝で育ったから」と笑った。本当だろうか。

でもまあ日野原センセが勧めるのなら「うつ伏せ寝」やってみようと思う。だがこれがなかなか難しい。

まず胸が圧迫感があるし、首や顔の向きも気になる

一番の問題は顔に枕の跡がつく事だ。

復元力のある若い肌なら、顔を洗えば跡はすぐ消えるが、もはや寄る年波、顔にまくらの筋を一日中つけて過ごしたくない。

先生考案うつ伏せ枕日野原さん考案のうつ伏せ専用枕を使えば良いのだろうが、わざわざお金使いたくないし。

ていうか、先生、そのお歳でまだ商売するですか!!

生きかた上手

うつぶせ寝健康法―日野原先生も毎日実践!
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乃木さんを責めないでPART2

『坂の上の雲』を読んで、司馬遼太郎氏からケチョンケチョンに、けなされている乃木大将を気の毒に思い、ふと乃木神社に参ってみようと思いたち、下関市へ出向いた。

柔らかい日差しがふり注ぐ、小春日和の城下町長府。
乃木神社は商店街と閑静な住宅街の合間にひっそりと建っている。

乃木神社の鳥居近くにある忌宮神社に比べても小さく、飾り気のない質素なたたずまいで、まあ乃木さんらしいと言えようか。

神社の前にはディケア・センターのバスが止まっており、ご老人達が三々五々、ヘルパーの人達に手をひかれ、あるいは車椅子で参拝していた。

私もいざ参拝しようとして、はて願い事は何にしようか。

一応『学問の神様』らしいのだが、小説の中でさんざん「無能」だの「戦下手」などと書かれていたのでちょっとためらう。

そういえば乃木将軍は文才があり、漢詩においては、思想家であり教203高地の漢詩育者でもある志賀重兇任気─崋分も遠く及ばない」と驚嘆したほどだ。

そんな訳で『どうかぶんしょうがじょうずになりますように』と、小学生のようなお願いをしてしまった。

そして、ありました。有名な爾霊山(にれいさん)の詩の石碑。

以前参拝した時は全く気がつかなかったが、しみじみと良い詩だ。

爾霊山(203)。爾(なんじ)の霊の山。これは旅順で戦死した無数の兵士の霊に捧げられている。その中には彼の息子の霊もあるのだろう。

また小学校唱歌にもなった『水師営の会見』の石碑や、さざれ石なども祀られており、ここの空間だけ明治の香りだ。

そして神社奥の方には、粗末な家屋がある。乃木大将の生家だ。

乃木さんの生家乃木さんは、今は六本木ヒルズになっている東京都港区出身のシティボーイだが、10歳の時、山口に帰郷したらしい。

6畳と3畳二間の小さな家で、質実剛健、厳しい教育を受けたのだろうな。

正月5日で参拝客も少なく鄙びた神社ではあったが私は満足した。

この寂れた感じが良いのよ。麗麗しく飾られていたら、逆にがっかりしたかもしれない。

さて、帰り、「長府乃木さん通り」というこれまた寂れた商店街を歩いていたらこんな看板を見つけた

レトロにも程がある

乃木さん、こんなにゆるくていいんですかぁ。

 

 

 

 

くんしょうがいっぱい

 

早婚の功罪

イアンここ最近レコード屋をのぞいていないが、たまに立ち寄って戸惑うことの一つが、ロックのジャンル分けの多さだ。

「ハードロック」、「ヘビメタ」、「HP」、「テクノ」とかならともかく、「ユーロビート系」「ハウス系」「トランス系」となると、よく分かりません。

ロックもどんどん進化しているのね。70年代ロックで青春をおくったロートルには難しすぎる。

さて、『コントロール』という映画のDVDを観た。

これは現在も活躍中のUKバンド「ニューオーダー」の前身「ジョイ・ディヴィジョン」のリードボーカルで、23歳の若さで自殺した、イアン・カーティスの短すぎる青春を描いたものだ。

私自身、ジョイ・ディヴィジョンもイアンの事も知らなかった。

彼らが活動した70年代終わりと言えば、「セックス・ピストルズ」や「クラッシュ」などのパンクが台頭し、UKロックは新しいムーブメントに沸き立っていたように思う。

物語は、マンチェスターに住むロック好きの少年、イアンがある女の子と出会うところから始まる。

若い二人は恋に落ち、やがて十代で結婚する。

イアンは、普段は職業紹介所の職員として真面目に働き、夜は仲間とバンド活動をしている。

やがて彼らのバンド、ジョイ・ディヴィジョンはプロの目にとまり、契約を交わし本格的にライヴ活動を始めるが、その頃からイアンは、てんかんの発作に襲われるようになる。

イアン1またイアンは、ライヴのインタビューにやってきた女性に惹かれ、恋愛関係を結ぶ。しかし彼には妻デボラと生まれたばかりの娘がいるのだ。

家庭と恋愛の板挟み、思いがけなく人気が出たゆえの、多くのファンや仲間から期待されるバンドの重圧、てんかんの発作の恐怖と薬の副作用による体調不良、そしてついに彼は・・・。

・・・・・・・なんだかものすごく切ない物語だった。

そもそもイアンとその妻デボラだが、夫が見るからに繊細なたたずまいなのに対して、妻は、ぽっちゃり体型もあって、鈍重で凡庸な印象だ。

彼が彼女のどこに惹かれたのか、とにかく釣り合わない2人である。

若気の至りとしか言いようがない。

もしかしたらイアンは、自分にない正反対なもの、安定さ、たくましさを求めていたのかもしれないが、妻も、鋭敏な神経の彼を支えるには、若過ぎた。

やがてイアンは他の女性と恋愛関係になる。

よくロックスターで、有名になったとたん、苦労をかけた糟糠の妻を捨てて若い女に走った話を聞いたことがあるが、イアンはグルービーの女の子に手を出すような軽薄な男ではない。

ステージでもきちんと結婚指輪をはめ、家庭を大事にしなければと思っている。

だが、彼のおちいった恋愛は遊びではなく本物だったのだ。

だから妻にも知らぬ顔はできず、「もう君を愛していないかも・・」などと口走ってしまう。

悲しいまでに不器用で、嘘のつけない男なのだ。

その正直さがまた妻を傷つける。

イアンもその妻も、どちらの気持ちも分かるだけに本当に切なかった。

ジョイ・ディヴィジョンの音楽は、重く、暗く、だが疾走感にあふれ、ボーカルのイアンの両手は何かを求めるようにもがき続けている。

まるで生き急ぎ過ぎた彼の青春のように。


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絵を描くよろこび

〜明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます〜。

サンセットさて本年の私の抱負は、恥ずかしながら「絵が上手になる事」だ。

最近、年寄りの冷や水もとい、年寄りの手習いで、デッサンを習い始めた。

実は小学生の頃、漫画を描くのが好きで好きで、白紙のノートを買ってきては、日なが夜なが夢中になって、女王様やバレリーナ、ハンサムな青年などを描いていた時があったのだ。

今考えてみると、それは全く自分だけの世界で、友達や親に見せるわけでもなく、自己陶酔・自己満足で完結していた。

我流だったから当然上達するはずもなく、いつの間にか漫画はおろか、絵を描くのさえ遠のいてしまった。

もし、基礎からきちんと指導を受ける、あるいは人に見せて批評してもらう、という前向きの姿勢だったら、多少なりとも、良い線いっていたのでは、と今にして思う。

レトロ2ただ絵を描く時の原始的な快感、気持のよさは、その後も心に残っており、このたび思い切って基本から始めようと決めたのだ。

だが、いざデッサンを初めてみると、あらためて自分の中の「勝手な思い込み」いわゆる「精神的な動脈硬化」に気付かされ、ちょっとショックだった。

一つのリンゴ、花、石膏などを、邪心のない素直な目で観察し、素直に描くということの何と難しいことか。

だから最近は、リンゴ一個を描く時でも、「自分は謎の惑星Xからやってきた潜入捜査員で、今の私の使命は、生まれて初めて見る、この赤くて丸い物体を正確に描いて祖国に知らせるのだ」
などと、心に言い聞かせている(ちょっとアブナイ?)

そんな訳で、絵はなかなか上達しないが、日々の生活でも濁りのない素直な目で物事を見るよう心がけるようになり、それはそれで得難いものになっている。

ああ、でも早く絵を描くよろこびを味わいたい。

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