5月の連休中、テレビで再放送されていた、NHKドラマ、『ハゲタカ』を偶然見、夢中になってしまった。
2年前、土曜の夜に放映されていた時は、都合で見られなかったのだ。
アメリカのファンド、いわゆる「ハゲタカ」が日本企業に仕掛ける壮絶なマネーゲームを描いたもので、練り込まれた脚本、スリリングなストーリー展開でわくわくさせてくれる。
そして何より、主役のアメリカ系投資ファンドの敏腕マネージャー、鷲津政彦に私は魅せられてしまった。
眼光鋭く、冷徹でありながらも、妙に人間くさい。
都会的なクールさと野暮ったさ、人の強さと弱さが何の矛盾もなく同居している不思議な魅力の持ち主だ。
あと5年もすればメタボかなと思われる体型や、少し後退している前髪も、鋭さの中に、ほっとする安心感を与えている。
演じている大森南朋さんは、舞踏家、麿赤兒の息子さんだそうで、あの子泣き爺のような面妖な父親の息子とは、とビックリした。
さてこのたび「ハゲタカ」が映画化されたので早速観にいった。
映画のストーリーは、中国系ファンドが潤沢な資金を背景に、日本の大手自動車企業を狙っている。
海外で引退生活をしていた鷲津だが、先輩のたっての願いで日本に戻り、中国系ファンドの天才マネージャー、劉一華と対決するという話だ。
鷲津さん、2年前より頬もふっくら、前髪はますます後退しているようで、そこが何ともいとおしい。
そして玉山鉄二演じる残留孤児3世、劉一華と、高良健吾演じる派遣工、守山。このイケメン対決も見ものだ。
気になったのは、無理に今の日本に合わせようとして、派遣労働者問題などを絡めているが、どうもやっつけ仕事のような感がすること。
日々めまぐるしく変わる経済情勢において、映画と現実ではタイムラグが生じるのは仕方ないことなので、それよりも、劉一華の生い立ちなどをもっと丁寧に描いてほしかった。
でも、鷲津さんに再び会えただけでも、私は幸せ。
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