私は、マイケル・ジャクソンの歌やダンス・パフォーマンスを心から愛しているが、彼のプライバシーには興味がない(嘘)、いや興味のないふりをしたい。

他愛のない恋、単純なラブソング、そんな曲が大好きで、メッセージ性月明かりで散歩の強い歌は苦手だ(ホントに愛しているのかよ)。

世界平和や地球環境や、世界中の子供たちの幸福とか歌われても、興味のない私は、「はぁ、至極ごもっともですが・・・・・(沈黙)」

そんな壮大な事ばかり考えるのから、ヤクザな家族に足元すくわれるんだよ、地に足をつけよマイコー(ホントにホントに愛しているのかよ)。

しかし、私は不思議に思うのだ。マイケルは5歳からジャクソン・ファイブで歌い始め、11歳でモータウンに加入、デビュー後いきなり4曲連続ナンバーワンを記録し、たちまち大スターとなった。

生き馬の目を抜くアメリカ、ショービジネスの世界で、子供の頃から彼はレコード会社のシビアな契約や訴訟を見てきた。
また長年、マスコミの目やテレビカメラにさらされる事で、どうしたら自分の姿がマスコミ受けするか熟知していたはずだ。

ある意味アメリカで一番、契約や訴訟に強く、また一番、カメラ映りやマスコミ受けを知り尽くしていた男がなぜ、頭の悪そうな家族に訴えられ、冤罪とバッシングにまみれた10数年を過ごさなければならなかったのか。

イン・ザ・クローゼット彼は決して世間で言われるような繊細で純真な青年だけではないと思う。

27歳のころビートルズの版権を買っちゃうあたり、勝負師というか冷徹な実業家でもあったのだ。

そんな訳で、疑問を払うべく、久しぶりにマイケル関連の本を読んだのが、音楽家西寺郷太著『マイケル・ジャクソン」

帯に「なぜマイケルは誤解されたか」と書かれてあったので、果たしてその謎は解けるか!と思ったのだが・・・・・。

・・・時間軸できっちりとらえ、大変分かりやすく読みやすい本だった。ジャクソン家の兄弟の記述が意外と多く(まぁMJは20年間、ジャクソン5・ジャクソンズのメンバーでもあったし)「少年虐待疑惑」の章は痛々しく胸が詰まりそうになる。
全体的に著者のMJに対する愛情が感じられ、ラストの数行は思わず涙ぐんでしまった。

エボニーでも、・・・・謎は溶けなかった。

もしかしたら、私には分からない大きな力が働いていたのかもしれない。

謎は残っても、彼の歌とダンスは本物だ。

プライバシーのバッシングはあっても彼の楽曲に対するバッシングは聞いた事がない。

著者がいみじくも語ったように、カラーTV台頭の時代にデビューし、家庭用ビデオ台頭の時代に再びブレイクしたマイケルは三たび、インターネット動画Youtube、そして3Dによって、いつまでも語り継がれることだろう。

マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)
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