0370私の部屋には、読みかけの本がたくさんある。途中でやめた理由はさまざまで、ただ単純につまらなかったのから、登場人物が気の毒で、これ以上読みすすめられないというのまで。

星新一著「人民は弱し 官吏は強し」が読みかけなのは後者の理由である。新潮文庫のこよりは真ん中を挟んだまま。読まなければと思うのだが、気が重い。

だって、敬愛する星新一、あの星新一の父上が、官僚組織から、さんざん陰湿な妨害を受け、破滅させられるんですよ・・・。

「ヤダヤダ、これ以上星パパがいじめられるの見るのヤダ!」気分的にはこんな感じか。

星一(星新一のパパ)は明治の初め東北の片田舎に生まれ、苦学しながらアメリカのコロンビア大学に学び日本で製薬会社を興した。会社は業績を上げるが、正義感と才能にあふれた彼は、何かと官僚からねちっこい嫌がらせを受ける。

そのイジメでさえ読んでいてムカムカしてきたのに、星の兄貴分後藤新平氏の政敵、加藤高明が首相になったあたりから雲行きがますます怪しくなりもう怖くてページをめくれない。

ただ星パパもちょっと甘いところがある。経営者でありながら、人の心の闇を知らなさ過ぎるのだ。無能の人が才能のある人に抱く嫉妬は計り知れない。私もそうだから。

問題は、一般の人だったら「チェ、あいつやり手だなぁ」と陰口を言い合うだけで済むところを、その無能の人たちは巨大な権力を持っていたことだ。そして嫉妬心に凝り固まっていた・・・。

さて、まだ半分しか読んでいない本の感想を書くのも変だし、このまま放置プレイを続けるのも星父子に失礼だ。

心を落ち着けて続きを読もう。読後感は涙に濡れるか、さわやかなものになるかは分らないが・・・。

    

 
明治の人物誌
人民は弱し官吏は強し