0400大人になって好きになった食べ物に「ナス」がある。

子供の頃はキライだった。スポンジみたいにスカスカして味がなくて。特に焼きナスにした時の焦げたような匂いはイヤだった。

それが今やナスは大好物。焼きナスはもちろん、味噌いためや蒸して中華風にしたりグラタンにしても美味しいし、スパゲティや夏野菜のカレーにしても最高!

そうそう、漬物という手もある。紫紺のぬか漬けはご飯にも酒の肴にも合う。

さて、ある本にて知った話だが、かの二ノ宮尊徳(金次郎)が、夏のある日ナスのぬか漬けを口にしたところ、秋ナスの味がするのに気づいた。周囲の人たちに確認すると、「そういえば空の様子や風のそよぎもどことなく秋っぽい」という意見があり、彼は確信する、「飢饉が来る」と。

ただちに尊徳は対策に走り回り、ヒエ・粟などの飢饉に強い食物をたくさん植えさせた。

天保の大飢饉の初年、多くの餓死者が出たが、尊徳の治める桜町領だけは1人の餓死者も出なかったそうな。

それにしてもすごい。ナスを食べただけで飢饉を予想するなんて。第一秋ナスは嫁に食わすなって言うくらいうまいものだ。普通だったら、ああ美味しいナスだ、で喜んでそこで終わりなのに、気づきの鋭さと言うか危機管理に長けているというか。

きっとそれは、いつも真摯な目で自然と向き合っていた尊徳だからこそ出来たことだろう。

そして、養殖と天然ものの味さえ区別できない味覚偏差値の低い私は、偉大なる先人に思いをはせながらも、今日も手抜きしてスーパーでナスの漬物を買うのであった・・・・。