先日バスに乗っていたとき、前の座席に、病院帰りらしい年配の女性がすわった。そしておもむろにきんちゃく袋から銀行通帳を取り出しながめている。
別にのぞき見したわけじゃないのだが、自然に目に飛び込んできた数字にびっくりした。0がいち、にぃ、さん、・・・0がななつもある・・・。
ウン千万のお金を普通預金にいれたままかよ・・・・。でもおばあちゃん運用なんてわかんないよな。つかもし私が街金に追われていたならば、この小柄なアルマジロのようなおばあちゃんの跡をつけ、引ったくりをしたかもしれない。きんちゃく袋の中には、ハンカチやチリ紙やお数珠と一緒に健康保険証も入っているだろう。こんなおおらかな(不注意な)人なら、たぶん暗証番号も誕生日かなんかに違いないし・・・、などと妄想しているうちに彼女は目的地に着き降りていった。
降りていった先を見て、私はおもわずため息をつく。そこは最近オープンした健康食品(?)のお店だ。去年までコンビニだったがつぶれ、一年間空家だったところだ。
三々五々お年寄りがその店に入っていく。迎えるスタッフは若い男女でみなエプロンをし、満面の笑顔で客を迎えている。店の中は老人たちでぎっしり埋まり、なにやら熱心に話を聞いている。
家で1人いるよりも、仲間がたくさんいる、こんな場所でみんなとおしゃべりしている方が楽しいだろう。そのために多少、健康な水やドクダミやアガリスクを買ったって良いじゃない、と思う。否定はしない。
リフォーム被害に遭われたお年よりは認知症の方が多かったし、話し合える友がいなかったと思う。それに比べ、この老人たちはまだまだ元気だし仲間もいる。親不孝な子供があてにならないのならせめて、仲間同士で話し合い、協力し合い、恐ろしい世間と戦ってほしい。今、ほんとうの冒険者は、アナキンでもオビワンでもないそれはヨーダもとい、「老人」なのだ。
スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃
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日本の問題の一つに、富が年寄りに偏っているということが言われます。個人金融資産1400兆円といいますが、かなり高年齢層が巨額を持って、若年層は無一文。富の蓄積が、「遺産」や「退職金」によるからです。巨額の赤字の日本国政府が安心しているのは、その個人資産は100年後には、相続税で全部まきあげることができるからだという珍説もあります。
ところが、老人が、相続しないで浪費すると困ったことになります。だから違法リフォームは政府がとりしまるのでしょう。「まきあげるのはオレ(政府)のほうだ!」って。
競馬場に行くと、対面式馬券売り場には厚さ10センチもある万札を、ハンドバッグから取り出す老女なんかがいて、ほんとに嫌になります。
なるほど、政府からすれば、日本のお年寄りは、将来の相続税を管理する金庫番に他ならないのですね。金庫番が勝手に浪費するなと。
思うに、財を作る時と得る時にタイムラグがありすぎ。
しゃかりきに働いて子育てしている時期はピーピーで、扶養家族もいなくなり、足腰も歯も弱った時にポーンと富を得ても・・・。
競馬場で札びら切ってるおばあちゃんも、若い頃は苦しい生活をしていたのではと想像されます。日本のラスコーリニコフが消えることはないでしょう。