コカコーラのCMを見て、思うことがある。 いずれも、みめうるわしい男女が、おいしそうにコーラを飲み終え、満面の笑みを振りまく、がパターンだ。
だが私は、あんな爽やかにコカコーラを飲むことが出来ない。炭酸が苦手なため、ひとくち飲んだだけで喉が「ジガジガ」するし、さらにゲップが出てくる。多くの人たちは、やはりあのCMのようにゲップひとつせず、美しく飲みほすことができるのだろうか。
そんなわけで、私の長い人生の中で、自らコカコーラを買った回数は10指に足りるくらいである。
そして、やはり飲んだ回数は少ないが好きな飲み物の中にラムネがある。同じ炭酸飲料なのに、こちらは味がまろやかで喉の「ジカジカ」感が少ない。何よりあの小ぶりなビンとビー玉が良い。
好きなのに飲んだ回数が少ないのは、これらラムネに会うのが、夜店や花火大会といったイベントの時だけだからだ。氷の入った金盥で冷やされているそれは、ビンまで濡れ濡れとして、涼やかさを誘う。そしてビー玉のカチカチという音。
そうそうラムネは、田舎の駄菓子屋でも売っていた。昼寝してるばあちゃんを起こしてラムネと花火を買ったのはいつのことだったか。
今や世界を席捲しているコカコーラと、ほこりっぽい田舎道でひっそり売られているラムネ。中身にそれほどの優劣はないと思うのに、まるで清涼飲料界の、勝ち組と負け組みだ。
でも「ラムネ」という言葉を聞くと、懐かしい気持ちになる。それは、親に連れられての花火大会や夏祭り、田舎のイトコ達と過ごした夏休みを思い出させてくれるから。
経済的には成功しなくても、人の心に、ほっこりとした幸せを残してくれる。そんな生き方もまた楽しだ。
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