0443米沢藩の名君として名高い上杉鷹山は、九州の高鍋藩から上杉家に入り、17歳で当主になった。

英明な気質の鷹山は、藩の赤字財政を立て直すため、かなり思い切った改革をはじめるが、いつの世にも既得権益を死守したがる御仁はいるもの。保守派の重臣たちが、まだ若い当主を監禁して強要するといういわゆる「七家騒動」を起こす。

だが聡明な鷹山は機先を制してこのクーデターを未遂に終わらせ、重臣たちは切腹、隠居閉門の上知行半減などの厳しい処分を受ける。その後23歳の当主は、苦しみながらも改革を断行していった・・・。

さて、私はもちろん小泉総理を名君とは思わないが、この度の郵政法案に反対票を投じた人たちと、鷹山にクーデターを仕掛けた既得権を持つ重臣たちが重なって見えてしょうがない。切腹や閉門蟄居の変わりに、公認しなかったり対立候補を立てたりするわけね。

また、山本周五郎作「小説日本婦道記」の中に『不断草』という短編がある。これは「七家騒動」をモチーフにしており、クーデターを企てた重臣の部下の妻が大変な苦労をするが実は、てな話だが、この作品のポイントは“にがり”である。

どろどろした豆汁はつかみようがない。そこへにがりを落とすと、豆腐になるべきものとそうでないものとがハッキリ分かれる。一言で済む用件のために常に金や義理、慣習などがどろどろしている世界において「郵政民営化法案」は“にがり”の役割を果たしたのか。

現時点で総理や議員を批判しても意味がない。まずは選挙が終わってから。

それにしても、旨い豆腐が食べたくなった・・・。

  

 


全一冊 小説 上杉鷹山