球磨川ちょっと古い話だが、永野元法務大臣の「南京大虐殺は捏造」発言がマスコミをにぎわせていた頃、漫才「爆笑問題」の、こんなネタがあった。

「驚いたねぇ、あの法務大臣の発言には、」
「南京大虐殺はなかったって言うあれだろ、まったくひどすぎるよ」
「でしょ、せっかく兵隊さんが、いっしょうけんめい殺したのに・・・・・」
「そんな問題じゃないだろ!!」

NHKで5回放映されていた「アウシュビッツ」を見終えたとき思った。
アウシュビッツの収容所の所長ルドルフ・ヘスも、きっといっしょうけんめいユダヤ人らを殺したのだろう。

ヘスは、戦後裁判にかけられた時も、自分の任務については全く後悔してないと述べた。そのかわり心残りだったのは、仕事にかまけて妻や4人の子供たちと充分な時間を持てなかったことだと言う。愛妻家のエリートサラリーマンはその後、絞首刑に処せられる。

この番組の良かったところは、被害者、加害者共に冷静に客観的に描かれていた事だろう。そして興味を持ったのは、ナチの元親衛隊員が生々しい証言をしながらも、自分の行為についてやはり後悔はしていないというところ。彼は時折、懐かしそうな表情さえ浮かべて当時の思い出を語っていた。

だがユダヤ人証言者の話も負けてはいない。この人は戦後、罪を逃れた元ナチ親衛隊員を探し出し、裁判もかけずに殺したり、ドイツ人の捕虜を窒息死させている。そしてやはり自分のやったことは正しいと胸を張る。

彼らの謝らない姿勢に、かえって誠実さを感じるのはうがった見方だろうか。

その時点での自分のやるべきことを精一杯勤めただけだという、老人たちの表情に、清々しささえ感じながらも、その結果起きてしまった事実のあまりの重さに、呆然としてしまうのであった。

 

アウシュヴィッツ収容所