花今日は中秋の名月。お茶の稽古の後、社中の仲間と連れ立って、先生の知人である茶人の家へ向った。今夜そこでお月見茶会があるのだ。

・・・・・すばらしい茶会だった。露地にしつらえた茶席は、月とろうそくの明りだけに照らし出され、ぼんやりと幻想的で、虫の音と、たまさか吹く涼やかな風が心地よい。

そして茶人手作りのお菓子やミニ懐石の美味しいこと。最近、稽古がマンネリ化していたが、こういうイベントを体感すると、やはりお茶っていいな、と思う。

茶道は、時にひどく子供っぽいことをする。今どきかがり火なんて源氏物語じゃあるまいし、また客がにじって入るにじり口なども、よく考えれば変だ。でもその非現実的なところがまた楽しい。人間の本来持つ、胎内回帰願望を妙にそそる。

これからも地道に稽古を続けてみよう。またいつか、思いがけない愉しみに出会えるかも知れないから。

千利休とその妻たち〈上〉