タペストリー弥生3月、いわゆる木の芽時になると、いつも、もやもやした不安な気持ちになるが、10月も、やはり同じような症状が出てくる。

春とは逆に、暑い夏からじわじわ冬に向ってゆく、まるで下り坂の途中に立っているような不安定な感じが原因なのだろうか。

さて、10月になると必ず読みたくなる本がある。レイ・ブラッドベリの短編集「十月の旅人」だ。普段は存在さえ忘れているのに、ひんやりした空気が心地よい、でも妙に地に足のつかないこの季節になると、無性に読みたくなる。

なんだろう、このSF短編集にも、得体の知れない不安がうずまいている。特にこの中の『十月のゲーム』。私はこれを読んで初めて「ハロウィン」なるものを知ったせいか、今だにこのイベントには、無邪気な気持ちで楽しむ事ができない。

SF小説でありながら、土着的な血の匂いがする短編集。

くりかえしくりかえし読んで、やがて不安な気持ちが消え去った時、もう秋も終わりだろう・・・。

10月はたそがれの国