今週の毎日新聞に、ガルシア・マルケスの『予告された殺人の記録』を題材とした記事が連載されていたので、興味を持って読んでいた。

南米コロンビアの田舎町。美女アンヘラは、一方的に求愛され、資産家の男と盛大な結婚式を挙げるが、翌晩、「花嫁が処女ではなかった」を理由に、実家に突き帰された。家中が大騒ぎとなり、アンヘラの「最初の男」の名を問い詰め、翌朝、双子の兄たちが「その男」を殺す・・・。

と、偉そうに語ってはいるが、実はまだ原作を読んでいないのだ。ただ1987年に英・伊で映画化されたのを見、衝撃を受けたものだ。(人の意見によると、映画は原作の足元にも及ばないらしいが)

資産家の男バヤルドに、ルパート・エヴェレット、殺される男にアラン・ドロンの息子、アントニー・ドロンと、当時のイギリス、フランスの2大美青年が共演し、双子の兄たちも美形、などとかなりミーハーな視線で映画を見たのだが、やはり閉鎖的な、カトリック色の強い町における『処女性』の重要性には驚いた。

私は思った。なぜアンヘラはバカ正直に告白したのか。秘密を背負って生きていくことは、女にとってそんなにむずかしい事ではないのに・・・。

さて、この物語は実際に起きた出来事を、ガルシア・マルケスが小説化したものだが、「毎日」の記事を読んで意外な事実を知った。現実のアンヘラ(実名、マルガリータ)が、職に就く女性が少なかった当時、教員という進歩的な生き方をしており、また事件の後、夫から、何度もよりを戻そうと言われていたが断り続けていた事。

先進的な考えを持っていたマルガリータは、「処女でなかった事で離縁されるのなら、そんな結婚こっちからゴメンだわ」てな感じでサバサバしていたのかもしれない。だが閉鎖的な町や家族は、彼女の思惑とは全く違う悲劇に追い込んでいった・・・。

・・・・とにかく、この先はガルシア・マルケスの原作を読んでみて考えよう。

予告された殺人の記録