映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た。

昭和30年代の風景が、造形的に面白かった。例えていえば、リドリー・スコット監督「ブレード・ランナー」の近未来の風景(ワカモトの電飾など)や、「ブラック・レイン」の大阪の街に共通するような。
ただ映像としては面白いが、登場人物に対しては、昭和30年代の匂いは感じられなかった。

理由は、まず映画の中の人たち、特に子供たちの小ざっぱりとした身なりにある。青バナをたらした、顔にあかぎれのある子供が1人も出てこないし街には傷痍軍人もいない。(まぁ、ドキュメンタリーではないから、そこまでリアルにする必要はないが)。なんか登場人物すべて育ちが良いというか品が良いのである。

そしてやたら明るいのだ。コミックが原作だから多少デフォルメしているのだろうが、集団就職で東北から上京する15歳の娘が、あんなにキャピキャピしているはずがない。

また、売れない作家役の吉岡秀隆のベタな演技には戸惑ってしまった。

この映画で光っていたのは、身寄りのない少年役の子と、その父親役の小日向文世、そして三浦友和演ずる孤独な医者だけだ。

製作者はどんな意図でこの作品を作ったのだろうか。単にノスタルジックを楽しむだけなら良いが、それが長じて、昔は良かった人情があったなどと言い出すと、ちと困るのだが・・・。

ところで映画の中、駄菓子屋で子供たちがクジを引くシーンがあった。私が子供の頃は、ニッキの味がする紙をなめると文字が浮かんでくるというクジがあったが、ああいうのって、やはり家内制手工業で、作ってたんだろうな。