ガエル・ガルシア最近、気になっている俳優がいる。ガエル・ガルシア・ベルナル。メキシコの青年だ。
天国の口 終りの楽園』や『モーター・サイクル・ダイアリーズ』などに主演しているので、ご存知の方も多いだろう。

先日、彼の主演した作品『ドット・ジ・アイ』を観た。
美しいスペイン女をめぐる、イギリスの裕福な男性とブラジルの若者の三角関係の物語だが、普通の恋愛映画と思いきや、話が急展開し、ラストは唖然とする、サスペンス仕掛けだった。

面白くはあったが、物語をいじり過ぎたためか、ガエルの持つ不思議な魅力があまり生かされず、ちょっと残念。

そう、彼には人の心を落ち着かなくさせる、妙な力があるのだ。
身長は高くない、つか、はっきり言ってチビだ。顔だって可愛いが、決して美青年ではない。見ようによっては、ナイナイの岡村君に面影が似ている。
安物のグランジのTシャツを、肉体の一部のように着こなし、たたずんでいる彼の風采。たまにスーツを着ていても、借り物に見えてしまう。
そして瞳は純粋なのに、妙に淫乱な口元。

つまり彼は「成長過程の男」なのだ。やがて、違う大人へと成長していく、今ニッコリ笑っていても、明日はいないかもしれない。その落ち着きのなさ、おさまりの悪さに、極東の年増女は、惹かれてしまうのかもしれない。

そう考えると、彼が『モーター・サイクル・ダイアリーズ』で、チェ・ゲバラの若き日を演じたのは、みごとな選択だ。
作品を観ながら、「このやんちゃな男の子が、やがて、あの革命家になっていくのね、むむむ」と思わず感慨にふけったもの。

もちろん、いつまでも「成長過程」ではいられない。今後、どんどんビックになっていくだろう。

でも、これからも彼には、ハリウッド映画ではなく、「ラテン」にこだわってほしい。カラッとしたアメリカより、しっけを含んだ南米の空気の方が、濃い瞳の青年には似合うのだ。

ドット・ジ・アイ