スペインのペドロ・アルモドバルは、妙に気になる映画監督だ。「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥー・ハー」などの作品がある。原色を大胆に使った独特の色彩感覚、斬新な映像、そして登場する人たちの、まあ濃い事。

好き嫌いがハッキリ分かれる人で、正直、気持ち悪い作品もあったが、それでもついつい見たくなるのは、こわいもの見たさもあるのかな。

さて、監督の「バッド・エデュケーション」を観た。物語の芯は、神学校の寄宿生であった2人の少年の秘めた愛。そして神父による少年への性的虐待だ。残酷だが、ありがちな話だな、と思っていたが、その後16年の年月が流れ、物語は意外な方向へ螺旋状にどんどん展開していく。

2人の少年のうち、1人は新進気鋭の映画監督になり、虐待された方の少年は、見るも無残な変貌をとげていた。だが、物語がラストに進むにつれ、ハタと気がつく。この2人、心は変っちゃいないと。
映画監督になった方は、妙に取り澄まして気取った奴だし、片方は麻薬中毒で、祖母の年金をくすね取るようなダメ人間になっていたが、それでも純粋な愛は残っている。また、あの元凶の神父に対しても尊敬の念は忘れていない。

だが、この2人はまたしても、神父とある若者によって、悲劇を味わう事になるのだが、この若者が曲者なのだ。

こいつは、男同士だろうがなんだろうが、人の純粋な愛を、自分の野望のためにどんどん利用し、しかもその醜さに、自身まったく気づいていないという、たちの悪い男で、ある意味エロ神父より罪深いと思われる。

そんな、さまざまな人たちの、醜さ、愛、哀れさなどが、アルモドバル監督の、過剰装飾とも言える映像の中、繰り広げられる。
お腹一杯になりそうだ・・・・。

さて蛇足だが、映画の中で、ガエル・ガルシア・ベルナル君が、パンツ一枚で、プールに飛び込むシーンがあるのだが、そのパンツがまた、お母さんがスーパーで3枚千円で買うような、白いブリーフなのだ。
白いブリーフってなんか見ていて目のやり場に困る。まだすっぽんぽんの方が冷静に見られるのに〜、と思う私は何なんだ。