映画「ブロークバック・マウンテン」を観た。花まず大自然の美しさに目を見張る。雪をいただいた山並み、限りなく広がる牧草地、おびただしい羊たちの群れ。

主人公の2人は、テンガロンハットをかぶり馬に乗る、絵に描いたようなカウボーイだ。まるでマルボロのCMから抜け出てきたようないでたちで、くわえ煙草で羊を追い、テントを張り、焚き火で缶詰の豆を温める。

これでもか、というほどのカウボーイ生活。アウトドア派ではない私でさえ、体験したくなるようなナチュラルライフだ。

さて、欲求不満になった羊飼いが、つい牝羊とやっちゃった、という話を聞いた事がある。彼らが関係を持ったのも、羊とやる感じで、つい目の前の男と、てな感じではないだろうか。
それで結構気持ちよかったものだから、「これは、俺たちだけの秘密だよ」って、まるで小学生の子供たちが、自分らの秘密基地に、大切な宝物(貝殻とかきれいな石とか)を隠すような具合だ。

そう、この2人の男は、永遠に小学生の男の子のままなんだ。世俗を離れ、大自然の中で無心にはしゃぎまわり、男同士の友情をはぐくめる場所。それが出来るのはブロークバック・マウンテンだけだ。

いざとなれば、同性愛に寛大な西海岸で暮らすことだって出来たのに、彼らはあくまでこの西部の田舎にこだわり、人目を気にしながらもこの地を離れなかった。

男たちの深い友情(性的関係があってもなくても)の前に、女は無力だ。はからずも、この作品は、その事実を再認識させてくれた。つか大半の賢明な妻たちは、それくらいのこと重々承知だと思うが。

ブロークバック・マウンテン