ミュージカル映画『レント』を観た。ブロードウェイでの伝説的ミュージカルの映画化で、当時の舞台の役者がほとんど出演しているせいか、音楽は誠に素晴らしいものであった。

だが、肝心の物語がいまいち心に響かない。登場人物にまったく感情移入できないのだ。

ゲイ、レズ、麻薬中毒、家賃も払えない貧困な彼らたち。

そんなふしだらな生活をするからエイズに感染するのよ、自業自得よ、と非難する気持ちはさらさらない(いや、ほんの少しはあるかもしれないが)

私が気になるのは彼らの横柄な態度である。家賃を払わないのに態度が大きい、というのはまあ置いといて、彼らの妙な選民意識が鼻につくのだ。

芸術的なことをしているから、人とは違った生き方をしているから、 マイノリティで、繊細で、才能のある私たちは、凡人には理解できないのよ、そんな違った意味でのエリート臭さがたまらない。

そして、時代の流れは早い。ニューヨーク=エイズ、同性愛、麻薬というのは、もはやステレオタイプだろう。それとも私の頭の方がロートル化しているのだろうか。