先日リサイクル着物店で、単衣の紬の着物を買った。リサイクルといっても、まだ誰も袖を通してない品で、淡い藤色に矢絣の飛び柄が点々とついている。おそらく花嫁道具で作った着物の一枚が、しつけ糸をつけたまま、流通してきたのだろう。

値段も手頃で、梅雨の季節や初秋の普段着にちょうど良く、大変満足している。

さて、私の周囲で着物をよく着る人はまったくと言っていいほどいない。老母の着物姿は、結婚式やお葬式の時しか見た事がないし、第一着付けが出来ないらしい。

昭和一桁生まれでさえこれなんだから、それ以降の女たちが着物が着られないのも当り前だ。

そんなわけで私の着物の知識のほとんどは書物から得ているが、その中で、特に参考にしているのが、群ようこ氏の「きものが欲しい!」と「きもの365日」だ。

この人、大人気作家でありながら、大変手マメな方で、編み物が上手いのは有名だが、襟芯を縫い付けたり袋物を作ったり(着物にはいつもチマチマした針仕事がついて廻る)の手仕事もこまめにするし、ウールの着物など自分で縫うこともあるらしい。

群氏の本が役立つ理由として、年齢が近いのと、同じ小柄でショート・ヘアである事。そしてなんといっても着物の趣味が似ていることにある。
氏は、華やかな染めの着物が苦手で、地味で落ち着いた織の着物を好む。

もちろんこの人の買う着物と私のそれは、値段にして雲泥の差があるのは明白だが、花柄の染めの着物など恥ずかしくて着られない気持ちはよく分る。妙にそわそわして落ち着かないのだ。

その点、大島紬などに代表される織りの着物は安定感がある。何より“けなげさ”がある。目立たないけどひたむきに生きています、そんな意志を感じるのだ。

そんな一見庶民的に見える紬だが、実はかなり値段が高い(もちろん物にもよるが)

そして一見庶民的で気さくなおねえさん風の群ようこ氏だが、実はかなり高価な着物を多く所有している。

やはり群ようこは紬の女だ。