もう11月だというのに暖かい日が続いている。カラッとした快晴もいいが、風がほほをひんやりさせ、食べ物を美味しくさせてくれる寒い季節が恋しい。

さて、この季節になると読みたくなるのが、トルーマン・カポーティーの描く短編、いわゆるアラバマものの傑作『クリスマスの思い出』だ。

彼の少年時代の実体験に基づくと言われているこの作品は、読むたびにとろけてしまい、このまま本を胸に抱いて夢の世界まで連れて行きたいほどだ。

7歳のバディ(多分少年カポーティー)と60過ぎのおばちゃんは遠いイトコ同士。

身内の縁薄い孤独な少年と、内向的で純心無垢なおばちゃんは世界中で、たった二人の友だちだ。

彼らの一年で一番の楽しみはクリスマスである。

11月の晴れた日、まず親しい人へプレゼントするフルーツ・ケーキを作るのから始めるのだが、これがめちゃくちゃ楽しそうなのだ。

お金がないから高い材料は買えない。二人はオンボロ乳母車で林へ、ケーキに入れるピカン(果実の一種?)を拾いに行く。
(日本の感覚で言えば、秋深まる時期、よその林へギンナンを拾いにいくようなものか)

またこのおばちゃんの作るフルーツ・ケーキの美味しそうなこと。ちょっぴり入れたウィスキーの匂いまでただよってきそうだ。

次にツリー作り。

ひと気のない森へ行ってモミの木を切り、集めておいたハーシーのチョコレートの銀紙で飾りを作る。

そして最後に、お互いのクリスマスプレゼントに考えをめぐらす(このあたり、賢者の贈物っぽいかも)

晩年、荒れた生活をしていたカポーティーだが、本当はアラバマ時代に帰りたかったのではないだろうか。

彼の葬儀の時、親友によってこの『クリスマスの思い出』が朗読されたという。