最近、再上映館で映画を見るのがマイブームになっている。

なんたって、ちょっと前の映画が2本立で千円なのだ。作品も良いものを吟味して選んでいるし、ヒット中に観るよりも、少し時間を置いた方が、腰をすえて客観的に楽しむことが出来る。

さて、昨日観た映画は『かもめ食堂』

フィンランドの和風食堂で繰り広げられる、3人の女の物語。
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこが演じるのだが、この3人の距離感が絶妙なのだ。

決して馴れ合いにならず、助け合って協力はするが、個人の領域には踏み込まない。
どんなに仲良くなっても、お互いを丁寧語で話す。

「君子の交わり、水の如し」などとよく聞くが、中年の女たちでもそれは当てはまる。

ある程度年を経れば、誰もが心に重荷を背負っている。それは他人にはうかがい知れないものだ。

そんなわけアリらしき女たちが、さわやかなヘルシンキの港の風に吹かれながら、自転車で走り、シンプルで清潔なキッチンでフライパンを扱い、おにぎりを作る。

また小林聡美演じるサチエの姿が、絶妙なのだ。

料理をする時の手さばきの良さ。決してプロの料理人のような派手さはないが、長年心を込めてお料理を作ってきた、熟練した母のような丁寧さだ。

自分の信念を貫いているが、他人の意見も聞き、実行してみる柔軟性も持ち合わせている。

すべて、ほど良いのだ。特に美人ではないが、華がある。

完璧すぎてちょっと物足りなささえ覚えてしまうが、凛としたサチエに、日本女性の理想を感じ、その姿が、北欧の街にピッタリあうのが不思議だ。


かもめ食堂