スタジアム
人が死んだ時、なぜ一周忌や三回忌、果ては十三回忌などを、とりおこなうのか。

思うにそれは、亡くなった人の魂をなぐさめるためではなく、残った人々の心の重荷を軽くするためにあるのだろう。

かけがえのない人を亡くし、当初は身も心もあらぬ状態だったのに、今では故人を思い出す事もなく、普通に食べ、飲み、笑って暮らしている。

せめて、家族や親しかった友たちが何年に一度か集まり、手を合わせ故人を偲ぶ事によって、これまでの後ろめたさを払拭し、明日から又憂いなく暮らしていけるようにする。
これは、いじらしい人間の知恵なのだろう。

さて昨日、『木更津キャッツアイ・ワールドシリーズ』を観に行った。

平日の昼間なのに、客席はほぼ満員状態。20才前後の若い人が殆どだ。みんな学校や仕事はどうしたんだ。大学の学園祭の代休とかなのか。

だが館内は静かだった。上映中私語をする人も携帯をいじる人も皆無。時々笑ったり、悲しい場面で鼻をすする音が聞こえるだけ。そしてエンドロールの間も、席を立つ人はなく、皆静かに余韻を味わっていた。

実験的で斬新な映像にも関わらず、この静謐さは、やはり人の死という重いテーマを扱っているからだろうか。

アメリカ映画『フィールド・オブ・ドリーム』を彷彿させるドラマ展開。
三年前に死んだぶっさんと仲間達の邂逅。だが彼らは知る。あの楽しかった日々は戻ってこないということを。

そして熱い友情で結ばれ、あんなにぶっさんとの再会を切望しながらも、実は、自分達は彼を必要としていない、と気づいた時の切なさ。

木更津キャッツアイの愉快な連中は、これから、ぶっさんのことはすっかり忘れ、自分らの人生を歩むことだろう。まあいい、彼も苦笑いをしながらも見守ってくれてるはずだ。