k1このたび、2本1000円で映画が楽しめる再上映館にて、イギリス映画『キンキーブーツ』を観た。

・・・・・見終わった後、ふつふつと怒りがこみ上げてくる。

「こんな素晴らしい作品なのに、なぜ宣伝やプロモ活動をしないんだ!」(少なくとも私はごく最近まで、この映画の存在も知らなかった)

しかも「キンキー・ブーツ」
原題をそのまま音読みしただけ。おいおい、配給会社、やる気あるのか!
これじゃ何の映画かさっぱりわからないじゃないか。

せめて『女王様のブーツ』とかにしろよ(いや、これは品がないか)

さて、愚痴はともかく、この映画は、『フルモンティ』や『リトル・ダンサー』『ブラス!』らと並び称される失業・不況克服もの(イギリスってこういう映画が多い)の傑作である。

伝統ある地方の靴工場。
社長の突然の死によって、急きょその息子が後を継ぐことになるが、いきなり倒産の危機を迎える。

そして、ジョエル・エドガートン演ずる若社長チャーリーだが、これがまぁ地味でもっさりしていかにも優柔不断な男なのだ。

顔立ちはウクライナ出身のサッカーの名選手、シェフチェンコに似てまぁハンサムなのだが何せ華がない。

最初は、この男大丈夫かよと思っていたが、苦境の中、ふとした事で、カリスマ・ドラッグクィーン、ローラと出会い、屈強な男でも履けるブーツの開発に、社運を賭けることになる。

伝統的な紳士靴を作っていた熟練工たち、当然反対するかと思いきや、この倒錯風のブーツの用途を知ると、「体格の大きい男性がピンヒールを履くには重心をここに合わせて・・・・」と、早速、匠の知恵を絞るところがスゴイ。英国の職人は健在だ。

そして、工場の中で浮いていた若社長が、だんだん溶け込み、最後は経営者の風格さえ漂わせてくれる。

また、黒人で屈強な体格のドラック・クィーン、ローラが、チャーリーに恋焦がれながらも、それを心に秘め、協力してブーツを作り上げる姿が本当にいじらしい。

この映画は実話が元になっているらしいが、地味な役者だけで、これだけの傑作を作り上げる底力には敬服するだけだ。

キンキーブーツ