黒づくめの男達が集まり、お互いを記号で呼び合いながら際限なくおしゃべりをする・・・・と、まるでタランティーノ監督の『レザボア・ドックス』を彷彿させるワンシチュエーション・サスペンス映画が、この
『キサラギ』だ。
彼ら5人は、1年前に自殺したあるB級アイドル「如月ミキ」のファンで、インターネットのファンサイトで知り合い、彼女の一周忌に、つどう事になったのだ。
最初はただのアイドルオタの集まりかと思ったら、それぞれに思いがけない過去を持ち、おしゃべりを続けるうちに、彼らが、それぞれ彼女の死に関わっている事を知る。
果たして真相は、本当に彼女は自殺したのか。激しい議論は、意外な方向へ彼らを連れて行く。
この一見むさい男達のしゃべりが面白い。話す内容もだが、間の取りかたが秀逸だ。
こんなに会話だけで楽しませてくれる日本映画なんて、ほんと何年振りだろう。
そして見終わった後の清々しさ。心がホッと温かいなるような充足感。
彼らが、死んでしまったアイドルをいつまでも愛し、慕うさまは、まるでキリストの使徒のようだ。
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