今さらながら「佐藤優」がマイブームになっている。

よく注意してみると、この人、故米原万里氏のエッセイにも、
「哲学徒にして神学徒で、自称スパイというお茶目な青年」として紹介されている。

おいおい自分からスパイと名乗っちゃいかんだろう、と思ったりしたが、彼の情報収集能力は驚異的なものだったらしい。

それにしても元共産党員だった米原氏といい、自称スパイの佐藤氏といい、ロシア関係って濃い人が多い。

そんな佐藤氏と、NHKワシントン特派員だった手嶋龍一氏の対談集
『インテリジェンス 武器なき戦争』を読んだ。

手嶋龍一氏といえば、あの9・11の時、連日連夜NHKニュースに登場し、眠そうな流し目で、体を微妙に前後左右揺らしながら、解説をしていた姿が忘れられない。

「ああ、アメリカとの時差もあるし、この人ほとんど寝てないんだろうな」と、同情したものだが、どうやら元々ああいう顔立ちらしい。

その2人の対談集なのだが、今まで知らなかった情報戦略の内幕が垣間見られていい勉強にはなった。

特に、かの杉原千畝氏が、実は優秀な諜報活動家だったというのは興味深い。

だが全体的に盛り上がりに欠ける。

それは2人がお互いをヨイショし合っているからだ。

冷戦時代のソ連、アメリカのように、もっと激論を戦わしてくれたらよかったのにとも思ったが、情報の世界に生きる人は、結局本音を言わないのかもしれない。

それにしても佐藤氏の言葉
『秘密情報の98%は、公開情報を再整理することによって得られる』には思わずうなってしまう。

あえて危険な地に出向かなくても、大げさな事をしなくても、情報分析能力があれば、真実に到達する事は可能なのだ。

これは何も、国家機密とかの大そうなことでなくても、普段の生活の中でも役に立つことだろう。

だがその分析能力を身に着けるまでが大変だ。

佐藤氏のデビュー作『国家の罠』のなかで、「日本人の実質識字率は5パーセントだから・・・・」
というくだりがあったが、今さら諜報活動家になるわけではないが、せめて「文盲」にはならぬようにしよう。

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)