門司の出光美術館にて『青磁の美』を観てきた。

日中気温35度を越す暑い日だったが、美術館に一歩入ると、ひんやりとした出光空気があたりを満たす。

それは冷房のせいだけではなく、陶器の不思議な清々しさが、現実の暑さを忘れさせてくれるからだ。

青磁といっても色は微妙である。
唐の越州窯は、くすんだオリーブ色、宋代になると黄みがあり、時代によって、明るくなったり暗くなったり。

でも、非現実的で、神秘的な雰囲気は変わらない。

昔、中国の人たちが金銀より珍重したという玉(ぎょく)。
これを焼き物で再現しようとしたのが青磁といわれる。

食器もたくさんあったが、私は青磁の器に食べ物を盛って出されても、のどに通りそうもない。
そういう日常的な所作に、これらは似合わないのだ。

トルコの王様が、青磁の大皿に料理を盛っている絵があったが、あれはスルタンだから許されることだ。

この器に似合うのは、たとえば妙薬入れ。
秘伝の不老不死の薬を、青磁の壺に入れて王様に献上すると、きっと霊験あらかただろう。

あるいは仏具。

厳かでそれでいて清々しい青磁は、灰をいれる香炉にピッタリだ。

おっと、そういえばもっとふさわしいものがある。

それは、骨壷。

神秘な青にくるまれて、静かに眠りにつく・・・・。

よし!今度、使っ・・・・・・・。

ああ、こんな不謹慎な事ばかり考えている私は、たぶん誰よりも先に、骨壺の住人となるであろう。

香炉