あれは平成初めの頃だったろうか。

俳優の竹中直人は今、レーザーディスクで、リュック・ベッソン監督の映画『グレート・ブルー』を観るのに凝っているという記事を読み、当時、レーザーディスクを持っていた私は、
「ああ確かに、ワイド画面であの美しい映像を観たら、病み付きになるだろうな〜」

と思いつつもなぜか『グレート・ブルー』のディスクを買わなかった。

たぶん竹中氏ほどの凝り性でない私は、映画やビデオで充分観たからと思ったのだろう。

そのうちLDは、AV機器の淘汰の中で、ベータービデオと同じ運命を辿るのであった。

さて、久々に『グレート・ブルー』もとい、『グラン・ブルー』を観た。

『グラン・ブルー』は『グレート・ブルー』にプラス50分の未公開映像を加えたもので、題名からしてオシャレさんだ。

だが、どうも私はこの3時間以上ある『グラン・ブルー』は馴染めない。

もちろん私自身に集中力が足りないと言うのもあるのだが。

物語は、実在のフリーダイバー、ジャック・マイヨールをモデルとしたもので、ジャックとエンゾという幼なじみでライバルでもあるフリーダイバーと、ニューヨークのキャリアウーマン、ジョアンナ。この3人による不思議な友情が美しすぎる紺碧の海と共に繰り広げられる。

海と、男2人に女1人の友情というと、フランス映画『冒険者たち』を彷彿させる。どちらも純粋で、泣きたいほどに美しい。

このドリカムともいえる三角関係だが、時と場合によって常に2対1なのがいい。
(大人)エンゾ・ジョアンナ対(子供)ジャック
(潜水バカ)ジャック・エンゾ対(いい加減にせい)ジョアンナ
(恋人同士)ジャック・ジョアンナ対(ちょっぴり焼もち)エンゾ

微妙なバランスで成り立っていた3人の友情は、1人の死によりもろくも消え、そして残った2人の選んだ道は・・・・・。

男、女、海、ダイビング。

シンプルなこの物語に、冗長な未公開映像が必要だっただろうか。

例えば、初めてジャックがジョアンナと結ばれる場面、『グレート・ブルー』では、いかにもおずおずとジョアンナに抱かれる彼だったのに、『グラン・ブルー』では、いつのまにか床上手になっちゃって、自分から積極的に腰を動かしているシーンにはちょっとガッカリした。

また『グレート・ブルー』で、ジャックがジョアンナにイルカの写真を見せ「これがボクの家族さ。こんな家族ってある?」(彼は子供時代に親をなくしている)
と、さめざめと泣いていたのに、『グラン・ブルー』では「ボクの伯父さんなんだ」といって嬉しそうに、ジョアンナに、お茶目な伯父さんを紹介している。
おいおい、あんた、天涯孤独の身の上じゃなかったのかい。あの男泣きはなんだったんだ?

やっぱこういう作品はシンプルなのが一番ですね。

それにしても、シシリー島で、潮風を浴びながら、マンマのパスタを食べてみたいなぁ。