世界最速のインディアン』という映画DVDを観た。

インディアン知的なイメージのアンソニー・ホプキンスが、世界記録を目指す実在の老レーサー、バート・マンローを演じるのだ。これは見ものだ。

物語のクライマックスは、バイク・ライダーの聖地、アメリカのボンヌヴィル大塩原でのレースなのだが、そこにたどり着くまでの珍道中が面白い。

このバート・マンローという63歳のおじさんだが、バイクの腕はもとより天性の愛嬌と言うか、どんな人も味方につける不思議な魅力の持ち主なのだ。

早朝からのバイクの騒音に悩まされている隣人も、敵対している暴走族らしい男たちも、結局は彼の魅力に負け、最後は応援するはめになる。

初めて訪れたアメリカでも、出会う人出会う人、すべてが彼に協力的だ。そして数々の困難も、彼の不思議な「魅力」で乗り切ってしまう。

「なんかこの感じ、覚えがあるな〜」と考えたが、思い出した。

『クロコダイル・ダンディ』である。

バート・マンローはニュージーランドからやって来た「ダンディ」なのだ。

そして、最初はバカにしていた人たちが、段々彼に魅了され、応援していく姿には、映画『クール・ランニング』を彷彿させる。

そういえば彼のバイク “インディアン”は形がボブスレーに似ていて、またぐのではなく、バイクにうつぶせになって走る。

しかもスタート時には仲間から押してもらわないといけない。

白い大塩原を風を切って走る姿は、氷上のボブスレーそっくりだ。これはかなり度胸がいる。

だが彼は怖がらない。足がマフラーの熱で火傷しようが、突風でゴーグルが飛ばされても、めげない。

金なし、家族なし、病気持ち(狭心症、前立腺肥大)の年寄りは、度胸と愛嬌で、夢を叶えるのである。

世界最速のインディアン スタンダード・エディション