『ヘアスプレー』というミュージカル映画を観た。
1960年代、ボルチモアのハイスクールを舞台にした、ハッピーなダンス映画を単純に楽しもうと思っていたのだが、さにあらず。

いきなり映画の冒頭で『ボルチモア大学、黒人の学生を拒否』という新聞の見出しから始まり、う〜ん、これは一筋縄ではいかないなと感じる。

観終わった後、楽しさの中に一抹の寂しさが残った。

これは華やかなりし白人文化が消えていく物語なのだ。

庭のある広い家、頼もしいパパ、美人のママ、金髪の可愛い子供たち・・・。やがて女の子たちは髪をカールし、ドレスを着てパーティーへ。男の子はアイビールックで、スポーツカーに乗って女の子をエスコートする・・・・。

そんな昔の白黒映画で見たアメリカ文化がやがて消えていくのだ。

この映画の中では、まだダンスフロアは、ロープで仕切られていて、白人と黒人が一緒に踊ることは許されていない。

これを突き破ったのは、オデブの女の子、トレーシーだ。

なぜダンスの上手い太った女の子が、根強い黒人偏見を軽々と乗り越えたのか・・・。

それは多分、彼女もまた、マイノリティーだからだ。

彼女とそのママ(ジョン・トラボルタが怪演!)は、ずっと、太っていることで笑われ、いわれのない差別を受けてきた。

でもその中で逞しく生き抜いてきたトレーシーには、知らず知らず、偏見に寄らない、クールな視線を持つことができたのだろう。

振り返って今。

太っている人に対しての差別はますます酷くなっているように感じる。

メタボ検査はやめてほしい。

ヘアスプレー