『モーツァルトとクジラ』というアメリカ映画のDVDを観た。
これは最近とみに話題になっている「アスペルガー症候群」、実は私もよくわからないのだが、「知的障害のない自閉症」らしい(「自閉症」自体、まだはっきり解明されてはいないが)
この症例を持つ男女が恋をする。だがこれがなかなか難しい。
彼らはいわゆる『空気が読めない』のだ。
女性は子供のころ、オリンピックをテレビで観ていた両親が「レコード(記録)が破れた!」と喜ぶのを見て、自分も褒められようと家中のレコード(を粉々に破ってしまう。
男性は、IBMの就職面接で『これからのプランは?』と面接官に聞かれ「ハンバーガーを買って家に帰ります」と答え、面接に落ちた。
きっと彼らの見える世界は、平面で奥行きがないのだろう。
だから彼らにとって世の中は、予想外の言葉が行き交う不条理な世界なのだ。
男性にとっては、数学のみが自分を裏切らない味方であり、女性はモーツァルトの音楽がそれだ。
この2人、一見普通に見えるが、それがまた苦悩の元なのだ。
以前『学校』という日本映画で、軽度の知的障害者が担任の先生に『俺もA君(重度の知的障害者)みたいだったら良かった。そしたらこんなに苦しまなかった」と訴えるシーンがあるが、なまじ知的レベルがまともなだけにその苦しみは深い。
美しい平面の世界の住人である彼らにとって、この世の中は複雑すぎる。
それにしてもこの映画の中で、男性の職業はタクシーの運転手、女性は美容師だったのが気になった。
どちらとも、一般人でも難しい人の心を読む仕事ではないだろうか。
私自身、空気を読むのが苦手なので、彼らの苦悩は他人事ではない。
モーツァルトとクジラ
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