今年のグラミー賞で、オバマ上院議員が、最優秀朗読アルバム賞を受賞した。

受賞は2度目だが、彼の演説は大変分かりやすいそうだ。

大先輩、公民権運動のマーティン・ルーサー・キング牧師も大変演説がうまかったそうだが、つくづく時代は変わっていくのだなぁと思う。

さて、『アメリカン・ギャングスター』という映画を観た。

実話を基にしており、ニューヨークを舞台に、黒人で初めて麻薬王になった男、フランクと、麻薬捜査官リッチーが主人公だ。

物語はキング牧師が銃弾に倒れた1年後の1968年から始まる。

とにかくフランクを演じるデンゼル・ワシントンの、カッコイイこと。

スーツを凛々しく着こなした姿など、そのまま大統領選の演説をしてもおかしくないほどだ。

そして彼は「バカ」がつくほど真面目である。

デンゼル・ワシントン信条は「勤勉」「誠実」「嘘をつかない」そして家族を大事にすること。

毎日曜日は家族で教会に出かけ、日常生活はいたって質素である。

麻薬を売って飯を食っているくせに、自分の仲間がふざけた言動をすると、「あいつはコカイン中毒だ!」とののしる始末だ。

「誠実」であるがゆえに、麻薬も、東南アジアで高純度のものを買い付け、廉価で売る。

まるでハンドルの遊びのない車のようだ。

粗悪品を高く売りさばいている同業者にとってはいい迷惑である。

さて、もう一人の主人公、ラッセル・クロウ演じる麻薬捜査官、リッチーも「バカ」のつく正直ものだ。

賄賂が横行する警察内になって、彼だけが金を受け取らない。

車に隠してあった100万ドルを見つけてもネコババせずに警察に届けた彼は、賄賂が当たり前の警察仲間から嫌われ、孤立してしまう。

このラッセル・コロウが、なんかものすごくダサいのだ。
おばさんパーマみたいな髪型とメタボ体型。もたもた動く姿が、クールなラッセル・クロウデンゼル・ワシントンと好対照だ。

流れとしてはこの作品、ギャングと警察の対決というよりも、立場は違えど似たような信念を持った2人の男が、平行して走っていたが、あるきっかけで交わる、といった感じなのだ。

そのきっかけとは彼らの共通の敵、ギャングからくすねた純度の高いヘロインに混ぜものをし、より高く売りさばく、悪徳警官たちだ。

だがフランクが純度の高いヘロインを安く売りさばいたが為、多くの常習者が麻薬の過剰摂取で死んでいるのだ。

悪徳警官が粗悪品を高い値段で売った方が、世の中のためになるのでは?と思ったり。

とりあえずは、こういう人たちが自分の上司だったら、ちょっとイヤかも。

アメリカン・ギャングスター (ソフトバンク文庫 サ 1-1)