映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』金髪を観終わった後、無性に同じ王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『恋する惑星』を観かえしたくなった。

初めてこの映画を観た時の衝撃は忘れられない。

斬新でスタイリッシュな映像、音楽、そして独特の台詞回し。

中国返還前、活気あふれる香港の街を舞台に、前半は失恋した刑事と金髪の麻薬ディーラーの女との不思議な出会い。そして後半はその刑事の行く食べ物屋の女店員フェイとやはり失恋した警察官との恋のすれ違いを描いている。

koisuruwakusei無国籍な街で、刑事役の金城武は謎の金髪女に4か国語(広東語、日本語、英語、北京語)で話しかけ、店員フェイは気が向けばいとも簡単に海外へ旅立つ。

失恋した男たちの独り言、数字へのこだわり、ある意味村上春樹チックなこの世界で、登場人物たちは活動的で食欲も旺盛なのに(つかいつも何か食ってる)生活臭がなく、実体がない。

主演の刑事と警察官は、それぞれ223号と633号と番号で呼ばれ、他の登場人物も店員フェイ以外は名前がない。

邦題を『恋する惑星』にしたのも分かるような気がする。

まるで地球と似て否なるよその惑星の話のような浮遊感が、この街には漂っているのだ。(ちなみに原題は「重慶森林」)

恋する惑星ところで巷では、店員役のフェイ・ウォンのキュートさが話題となったが、私は、警察633号(トニー・レオン)の元カノのスチュワーデスも悪くないと思った。

特に朝出勤のシーンで、スチュワーデス姿の彼女が、動く歩道でしゃがんで、彼のいるアパートの窓に向って手を振る仕草には萌えてしまった。

我ながらつくづくオヤジだなぁ〜と恥じ入ったが、だからこそ最後のシーンでは「あ!」と驚いてしまったのだ。

個性的な女の子フェイも、結局名前を捨て、記号の世界に入って行ったのかと思うと、ちょっぴり切ない。

恋する惑星