つぐない1以前拙ブログにて感想を書いた、映画『君のためなら千回でも」は、子供のころ嘘をついて友を貶めてしまった少年の贖罪の話でもあるのだが、時に子供は残酷な存在だ。

もし嘘をつく子供が、思春期の女の子だったらどうだろう。しかも階級社会イギリスの上流社会のお嬢様だったら。

自分が大人たちにとって、純真で汚れない存在だということは十分自覚している。

自分の無垢さ潔癖さを武器に嘘をついた少女は、やがて一生その重荷を背負って生き続けることになるのだ。

イギリス映画『つぐない』を観た。

まず映像が美しい。

緑豊かなカントリーハウス。野では草花が咲き乱れ、瀟洒な館内に置かれた調度品ひとつひとつ、ため息が出るほど洗練されている。

そして後半、戦時中の場面、長回しで見せたフランス海岸の壮観さ、リアルとシュール、時間が行き戻りするフラッシュバックも巧みだ。

iyanagakiでも何といっても白眉は13歳の少女を演じたシアーシャ・ローランの存在感だ。

冒頭、タイプライターの規則的な音の中、自分の書いた原稿を抱き、神経質にカントリーハウスの廊下を直角に曲がり進む姿には圧倒された。

そして、少女は自身の嫉妬心、潔癖、空想癖から、姉が愛していた使用人の息子に対して嘘の証言をする。そして無実の彼は刑務所に。

本来だったら「13歳の、それも空想癖のある女の子の証言だけで逮捕かよ!」と突っ込むところだが、この少女の迫力ある眼差しをみるともうたじたじになってしまうのだ。

時代はそれから第二次世界大戦へ。姉の恋人は刑務所から戦場へ赴き、やがて姉と再会、そして罪を悔いた少女は大学に行かず、従軍看護婦になり・・・・・。

つぐない私はこの映画は未熟だった少女の、それこそ「つぐない」の話かと思っていたが、ラスト近くなってそれは違う、と知った。

少女には罪を償う機会さえなかったのだ。そして彼女に出来ることは幸せな姉と恋人を妄想することだけだった・・・。

そして教訓
1、手紙を送るときは中身をもう一度チェックすること。(今ならメール)
2、Hをする場所は必ず鍵のかかる部屋で。

う〜ん、現代でも十分通用するな。