毎日あつい。まるで終日ミストサウナに入っているようにあつい。

でも、文句ばかり言ってもしょうがないので、涼に出かける。

オフィーリア場所は市立美術館

今ここでは英国ビクトリア調絵画の巨匠、ジョン・エヴァレット・ミレイ展をやっているのだ。

実はミレイはあの有名な『オフィーリア』ぐらいしか知らなかったのだが、川面にただよう薄幸の美女に、思わず「涼」を感じてしまう私ってなんだろう。

まず最初、彼が10歳の時描いた『ギリシャ戦士の胸像』を観たのだが、そのデッサン力の高さに驚いた。
子供らしい自由奔放さや独創性を消し去った、老練した確かな筆致に、ミレイ5絵を志す人が見れば、必ずや背筋がゾッとするのではないだろうか。

そしてメインの『オフィーリア』

ボキャブラティがなくて申し訳ないが、ただひたすら清らかで美しい。

緻密に丁寧に描かれた草花、緑、流れるうたかた・・・・。
まるでこの世のものではない世界だ。

だが美しすぎて、恋人に父親を殺され、狂気の果てに死んでしまう哀れさがあまり感じられない。

ミレイ1もちろんミレイの絵はそんな生々しい画風ではないが。

『オフィーリア』は22歳の時の作品だから、もっと年を重ねていれば、また違ったものになっていたかも。

どの作品においても彼の絵は、繊細で清らかで、一種物語性をはらんでいる。
陳腐な表現だが、映画のワンシーンのようだ。

また、子供たちをモデルにした絵も多くあるが、これが可愛い。

ミレイ2まるでノーマン・ロックウエルにも通じるようなユーモアと愛情に満ち満ちている。

そして肖像画。

画像にはアップしていないが、お気に入りの一つが『ハントリー公爵夫人』

まだ年若い公爵夫人の、純心さと高慢さをあわせ持った凛としたたたずまいには、思わず「ハハー」とひれ伏したくなるような気高さがある。

ミレイ4清らかで繊細で、優しさにあふれた彼の絵は、とても日本人好みだと思うし、これから人気がでるのではないだろうか。

夏目漱石もお気に入りだったらしい。

とにかく、世俗の暑さを忘れた、美術館でのひと時であった。

ミレイ6