フェチと言うほどではないが、私は男の人の手をながめるのが好きだ。

映画を観ていても、好きな俳優の指先には自然と目がいってしまう。

マニュキアや指輪などほどこした女性と違って、男性のそれは無防備で時として所在なげで、それがまたいとおしい。

思うに、スターと言われる男性俳優の手は、たいてい美しい。

白魚のような、というと大げさだが、みな指が白くて長くて、爪もきれいに切りそろえられ、清潔感にあふれている。

まあそういう人たちって、手にあかぎれを作ったり、水仕事で、指がガサガサになるような生活とは無縁だからだろう。

でも節くれだってゴツゴツした指も捨てがたい(つか、男の指ならなんでもいいんかい)

さて、『おくりびと』という日本映画を観た。

おくりびとオーケストラのチェリストだった男が、楽団の解散のため、失意のうちに妻と共に、故郷の山形県に帰ってくる。

仕事を探していた彼は、好条件な職を見つけるが、実はそれは、『納棺士』という、遺体を棺に納める仕事だったのだ。

人に頼まれると断れない性格らしい彼は、不満を抱え、偏見に悩み、逡巡しながらも少しずつ、この仕事に没頭している自分に気がつく・・・。

主人公、大悟を演じる本木雅弘の、所作の美しさ、たたずまいの静謐さに惹かれた。

モッくんの指は、意外に太く、ごつく、大きい。
美しいというよりは、たくましい指先だ。

ていねいで優しく、そしてたくましい手にゆだねられ、故人は死に装束をまとい、死に化粧を施され、穏やかに旅立っていく。

モッくんの手は雄弁だ。

子供用のチェロをそっと弾く姿、まだ温かい故人の顔をそっと包み込む手のひら、自分がどう生きていけばいいのか分からず、妻に抱きつく、途方に暮れた指先・・・・。

ああ、やっぱり男の人の指っていいわ。

 

もっくん