王女迷宮をさまよう、いたいげな少女がモチーフ、という物語は多い。

古くは『不思議な国のアリス』、『オズの魔法使い』、また、ジェニファー・コネリーが主人公の少女を演じた『ラビリンス/魔王の迷宮』という映画もあったし(デビッド・ボウイがシブかった)、『千と千尋の神隠し』もだ。

このたび観た映画『パンズ・ラビリンス』もそんな類の物語かと思っていたら、まったく違っていた。

まず、不思議の国のアリスのような可愛らしいドレスを着た少女が、い第一の試練つの間にか泥と汚物にまみれるのを見て、

「う〜ん、一筋縄じゃいかないビター・ファンタジーだな」と思った。

時代はスペイン内戦の頃。
父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と一緒に、母の再婚相手、フランコ独裁政権主義の大尉に引き取られ、軍の建物に住む。

義父は残忍な男で、軍に逆らう者やレジスタンスらを拷問にかけては、次々と殺し、妻に対しても冷たい。

彼の関心はやがて生まれてくる子供のことしかなく(男の子って決めつけてるし)そのために妻が死んでも構わないと思っている。ましてやその連れ子なんて・・・。

でもこの大尉、冷酷だが、平凡な男にはない不思議な魅力がある。そこに母も惹かれたのだろうが、子供のオフェリアには理解出来ない。

目玉ちゃん自分の居場所を失くした少女は、現実世界の辛さから逃れるため、あえて魔宮の世界へ行こうとしている。だがそこへ行くには三つの試練をくぐりぬければならない。

現実世界の過酷さと、少女の三つの試練が同時進行で繰り広げられる中、異形の生き物たちがなんとも可愛らしく感じる。

そしてラスト、そんなのあり〜、と思わずつぶやいてしまう、あまりに悲しすぎるエンディング。でもある意味ハッピーエンドなのかな。

美しくそして残酷な映像、切ないメロディ、悲しげな少女のまなざしが心に残る。

パンズ・ラビリンス 通常版
パンズ・ラビリンス 通常版