イアンここ最近レコード屋をのぞいていないが、たまに立ち寄って戸惑うことの一つが、ロックのジャンル分けの多さだ。

「ハードロック」、「ヘビメタ」、「HP」、「テクノ」とかならともかく、「ユーロビート系」「ハウス系」「トランス系」となると、よく分かりません。

ロックもどんどん進化しているのね。70年代ロックで青春をおくったロートルには難しすぎる。

さて、『コントロール』という映画のDVDを観た。

これは現在も活躍中のUKバンド「ニューオーダー」の前身「ジョイ・ディヴィジョン」のリードボーカルで、23歳の若さで自殺した、イアン・カーティスの短すぎる青春を描いたものだ。

私自身、ジョイ・ディヴィジョンもイアンの事も知らなかった。

彼らが活動した70年代終わりと言えば、「セックス・ピストルズ」や「クラッシュ」などのパンクが台頭し、UKロックは新しいムーブメントに沸き立っていたように思う。

物語は、マンチェスターに住むロック好きの少年、イアンがある女の子と出会うところから始まる。

若い二人は恋に落ち、やがて十代で結婚する。

イアンは、普段は職業紹介所の職員として真面目に働き、夜は仲間とバンド活動をしている。

やがて彼らのバンド、ジョイ・ディヴィジョンはプロの目にとまり、契約を交わし本格的にライヴ活動を始めるが、その頃からイアンは、てんかんの発作に襲われるようになる。

イアン1またイアンは、ライヴのインタビューにやってきた女性に惹かれ、恋愛関係を結ぶ。しかし彼には妻デボラと生まれたばかりの娘がいるのだ。

家庭と恋愛の板挟み、思いがけなく人気が出たゆえの、多くのファンや仲間から期待されるバンドの重圧、てんかんの発作の恐怖と薬の副作用による体調不良、そしてついに彼は・・・。

・・・・・・・なんだかものすごく切ない物語だった。

そもそもイアンとその妻デボラだが、夫が見るからに繊細なたたずまいなのに対して、妻は、ぽっちゃり体型もあって、鈍重で凡庸な印象だ。

彼が彼女のどこに惹かれたのか、とにかく釣り合わない2人である。

若気の至りとしか言いようがない。

もしかしたらイアンは、自分にない正反対なもの、安定さ、たくましさを求めていたのかもしれないが、妻も、鋭敏な神経の彼を支えるには、若過ぎた。

やがてイアンは他の女性と恋愛関係になる。

よくロックスターで、有名になったとたん、苦労をかけた糟糠の妻を捨てて若い女に走った話を聞いたことがあるが、イアンはグルービーの女の子に手を出すような軽薄な男ではない。

ステージでもきちんと結婚指輪をはめ、家庭を大事にしなければと思っている。

だが、彼のおちいった恋愛は遊びではなく本物だったのだ。

だから妻にも知らぬ顔はできず、「もう君を愛していないかも・・」などと口走ってしまう。

悲しいまでに不器用で、嘘のつけない男なのだ。

その正直さがまた妻を傷つける。

イアンもその妻も、どちらの気持ちも分かるだけに本当に切なかった。

ジョイ・ディヴィジョンの音楽は、重く、暗く、だが疾走感にあふれ、ボーカルのイアンの両手は何かを求めるようにもがき続けている。

まるで生き急ぎ過ぎた彼の青春のように。


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