2009年01月13日
おかしゅうてやがて哀しき
昨年の夏上映されたのに見逃していた香港映画、『ミラクル7号』のDVDを観た。
監督で俳優のチャウ・シンチー(周星馳)の、香港における人気は絶大なようで、昨年香港の、映画興行収入は、『レッドクリフPart1』を抑え、この『ミラクル7号』がトップだそうだ。
チャウ・シンチー作品は『少林サッカー』と『カンフーハッスル』しか知らない私だが、今度もあの、「コテコテのギャグ」、「おバカキャラ」、「ハイテンション」、「ありえねーアクション」満載の世界かな、と思ったら少し様子が違っていた。
チャウ・シンチー演じるティーは、小学生の息子、ディックと2人暮らし。
超びんぼーなのに父は工事現場で必死に働き、息子を名門小学校に通わせている。
仲の良い親子で、父はいつも「貧乏でも嘘を付かず、喧嘩せず、一生懸命勉強すれば人から尊敬される」と言って聞かせているが、ディックはやはり心の中に屈託を持っている。
そんなある日、運動靴を探しにきたゴミ捨て場で、不思議な青い物体を見つける。それは何とも愛らしい生物だった・・・・・。
・・・・・・・いやぁ、不覚にも泣いてしまいました。
思い切り笑うつもりが、チャウ・シンチーの映画で泣かされてしまうとは。
まず父子の凄まじいビンボーぶりが、このご時世、笑えないのだ。
無学の父が、せめて息子には、という気持ちも切実だ。
そして、ミラクル7号、ディックが「ナナちゃん」と呼んでいる地球外生物だが、その可愛らしいこと!!
実はナナちゃん、凄い能力があり、それによってこの父子は最大の危機を逃れるのだが、肝心の彼らはその善行を知らない。
それどころかディックは勝手に腹を立てて、ナナちゃんを叩き、いじめ、ゴミのように捨てたりする。
彼らが超貧乏だからって甘やかさず、醜い所もしっかり描いているのがリアルだ。
また名門小学校でディックをいじめている生徒たちだが、どうも金持ちの子には見えない。
その言動などから、きっと彼らはここ数年の高度成長で成り上がった家の子たちで、もう一度、経済恐慌が起きれば、たちまちディックと同じ立場になり下がるのでは、と想像できる。
そしてナナちゃんをきっかけに、本来の子供に立ち返ったとき、彼らのいじめも解決する。
意地の悪い先生や、口の悪い現場監督が出てくるが、みな基本的には善人だ。
だが何といっても、ナナちゃん。見返りや賞賛を求めないそのけなげな姿。
そしてナナちゃんを見守る父子を、弱さも持ち合わせた生身の人間として描いたからこそ、その切ない愛情に涙するのだ。
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