先月早くもDVD化された映画『レッドクリフPart1』をレンタルして自宅で観たが、さっぱり気持ちが盛り上がらない。

劇場ではあんなに興奮してワクワクしたのに、自部屋のモニターからだと妙に冷静になり、「トニーさん、お肌が荒れてるなぁ」とか「エキストラのオバサン、笑ってるよー」とか「結構むだなシーン、多いなあ」とか、ちまちました事に目が行く。

元々この作品、結構粗が目立つし、突っ込みどころも多いが、大スクリーンのジョン・ウー監督の圧倒的な映像には「そんなことどうでもいいじゃん」と思わせる魔力がある。
だが家でDVDだとその力も半減するようだ。

はーどぼいるどところで、巷に溢れる『レッドクリフPart2』のCMの凄まじさには、辟易している。

いくら前作が予想外の大ヒットになったからといって、予告と称して、ネタバレ動画や映像を流し過ぎでは。
しかも前作上映からわずか半年で、テレビ地上波放映するというのも行き過ぎというか、Part2の売上アップが見え見えで引いてしまう。

大好きな作品なのに、なんか複雑な気持ちだ。

バーンさて、ジョン・ウーが製作総指揮をとった映画『天堂口』をDVDで観た。

日本での上映はむろん、DVD化もされないだろうと諦めていたのに、これもやはり「レッドクリフ効果」か。

そして観終わった後、「ああ、劇場で見たかったな」と思う。

迫力ある映像で、それこそ「細かいことなんでどうでもいい」気持にさせる魔力健在だ。

時代は1930年代の魔界都市、上海。
横光利一の「上海」より10年ほど経っていると思われ。

束の間の逢瀬ストーリーは何ということもない、ありふれたフィルム・ノワールだ。

くすんだ映像、上海のレトロな街並み、血の匂いとピストル、無表情に殺し殺される男たち、そして謎めいた美女。

貧しい田舎から一攫千金を夢見た若者たちの栄光と挫折。

何ら目新しいものはないのに、惹きつけられる。

観終わったと、冷静になると「殺しは嫌だとか言いながらいつ練習したんだ、そもそも蘇州の田舎から出てきた男が、何であんなに銃さばきが上手いのか」とか「殺し屋の弟、いつでも兄貴を狙うチャンあったじゃん」とか、頭に湧いてくるのだが。

今は映画は当然のごとくDVD化され、それはそれで有難いことだし、製作者もそれを念頭に入れて作っていると思う。

素朴な若者だったのにだが劇場の大スクリーンで見て、興奮して笑い泣き、終わり!というのも捨てがたいものだ。

「レッドクリフ」やこの「天堂口」などはそれにふさわしい作品だと思う。

ブラッド・ブラザーズ-天堂口- [DVD]
ブラッド・ブラザーズ-天堂口- [DVD]