光子の肖像「青山みつ」という女性の存在を知ったのは、昔読んだ、少女雑誌の漫画からだった。

ストーリィーは、明治の初め、18歳の町娘青山みつが、オーストリア・ハンガリーの外交官で伯爵であるハインリッヒと出逢い、2人はたちまち恋に落ちる。

周囲の反対の中、彼らは結婚し、2人の息子をもうける。そして結婚3年後、正式にみつは伯爵夫人として、夫と子供らと共に、オーストリアへ旅立つ。

やがて7人の子に恵まれ、優しい夫に愛され、何不自由なく暮らしていたみつだが、突然夫の死によってその生活は一変する。

「東洋人なんかに伯爵の財産を渡してはならない」という夫の親戚らと遺産相続で争ったがそれに勝利し、その後、見事な手腕で城や広大な領地の管理をし、7人の子供たちを立派に育てた。

その子供たちのうち1人が今のユーロの基礎となった「パン・ヨーロッパ・ユニオン」の創立者、リヒァルトである。彼はあの有名な映画「カサブランカ」のモデルにもなったらしい。

日本人初の「伯爵夫人」としてヨーロッパに渡り、ハプスブルク帝国末期光子とハインリッヒのウィーン社交界で「黒い瞳の貴婦人」として活躍したという、少女漫画にぴったりのシンデレラストーリーだ。

だが、現実はそんな甘いものではない。

今回読んだ、シュミット村木眞寿美著『ミツコと七人の子供たち』で、私のそれまでの青山みつのイメージはがらりと変わった。

何という過酷で寂しい人生・・・・。

まず伯爵とみつの馴れ初めだが、どう考えてもこの2人が出逢ってすぐ恋に落ちるなんて不自然すぎる。

それよりも、みつは父親によって、異国の人「紅毛の白い鬼」へと売られてしまったと考える方が自然なのだ。

続く・・・。

ミツコと七人の子供たち (河出文庫)
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