撤退ラッパ第二次世界大戦後の混乱した中国、毛沢東率いる人民解放軍と蒋介石の国民党軍の国共内戦を背景に、事実を基にした中国映画『戦場のレクイエム』を観た。

う〜ん、この邦題『戦場のレクイエム』がいまいちピンとこない。やはり原題通り『集結号』(撤退ラッパとでも言おうか)のほうが良い。

映画の主人公、人民解放軍のグー・ズーティはこのラッパのために10年近く放浪することになるのだから。

さて物語は前半が激しい内戦の様子、そして後半は、47人の部下を亡くした中隊長のグーが、部下の名誉を回復するために奔走する姿を描いている。

グー中隊長は荒っぽいところもあるが頼りがいのある、部下にとっては兄貴のような存在だ。

兄貴ィ〜情にも厚く、初めての戦場でびびっておしっこを漏らしたかどで軍法会議にかけられ房に入れられている元教師の男を、自分の隊に引き入れたりする。(それにしても当時の中国って、おしっこ漏らしたくらいで投獄するのか・・・)

戦況は厳しくなり、グー率いる部隊は最前線の旧炭鉱の死守を命じられる。

「撤退ラッパが鳴るまで、たとえ1人になっても戦い続けろ」という上官の命令に従い、グーの部隊は勇敢に戦う。

びびっていた元教師ワンも、いつの間にかたくましい兵士となり、仲間と一緒に雄々しく敵に立ち向かうが、撤退ラッパは聞こえないまま、部下47人すべて戦死する。

無名戦士の墓標一人生き残ったグーは、戦中戦後のどさくさで勇敢に戦った亡き部下たちが、失踪者扱いにされていることを知る。そして元教師ワンの未亡人から、ワンが不名誉の死に方をしたと村で噂になり、辛い思いをしていると聞き怒りに震える。

そして部下の名誉を回復させるため、たった一人の戦いが始まる・・・・。

まず圧巻だったのは戦闘シーンだ。市街戦や淮河の旧炭鉱での激戦など、『プライベート・ライアン』を彷彿させる生々しさだ。

また塹壕戦や戦車が多く出てくるなど、第一次世界大戦の西部戦線を想像させる。

映像自体がブルーのフィルターを通しているような印象で、クォリティの高さを感じた。

そしてこのグーという男。ちょっと竹中直人に似ているが、理想的な兄貴だ。

「生きて虜囚の辱めを受けず」なんてせこい小さい考えなんか持たない。

部下の名誉を守るためなら、生き恥をさらし、泥まみれになっても構わないと腹をくくっている。

また、朝鮮戦争に義勇軍として参加した時、地雷を踏んだ兵士の命を助け、のち少佐になったその男と、ワンの未亡人の仲を取り持ち、恋のキューピットになるなど、可愛いところもある。

この映画には、イデオロギーや主義主張など一切語られていない。「毛沢東」という言葉も出てこない(写真は出てくるが)

あくまでも庶民の目線による戦争映画なのだ。

そしてラスト、ラッパが鳴り渡り、グーの戦争はやっと終わるのだ・・・。

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